日本でも人気が高いベトナム料理「バインミー」

ベトナムは食材が豊富なうえに、隣国である中国料理や一時統治国だったフランス料理の影響を受けて、味付けや種類が独自に進化してきたといわれています。その中で今回取り上げるのはバインミー。フランスパンにレバーパテを塗り、卵焼き、ハム、野菜の甘酢漬けなど現地の食材を盛り付けるベトナム風サンドイッチです。
野菜が多く、ヘルシーで種類も豊富なことから日本にも専門店ができて、女性の間で大人気になっています。グルメを目的にベトナム旅行する人が増えているのもうなずけます。
実際、世界からベトナムへの訪問者数は2017年では前年比29.1%増、2018年1〜11月累計でも前年比21.3%増となっています※。

また、ベトナムの中心都市、ホーチミンはかつてサイゴンと呼ばれ、ベトナム戦争で最後に解放された地でもあります。その一方、東洋のパリとも呼ばれ、フランス統治時代の面影を残すコロニアル様式の美しい建築物が数多く残っています。1800年代のベトナムに思いをはせながら、当時が発祥のバインミーをほおばるのもベトナム旅行の楽しみ方のひとつかもしれません。

  • General Statistics Office of Vietnamより

ここ10年マイナスなし!経済成長し続けている国

料理や観光のイメージが強いベトナムですが、昨今はASEANの経済優等生として注目を浴びています。ベトナムは中国と同様、共産党の一党支配による社会主義体制を敷きつつ、一部資本主義の要素を取り入れた経済政策を進めています。「ミニ中国」と呼ばれることがあるのはそのためです。

ベトナム・フィリピン・マレーシア・タイの実質経済成長率のグラフ

2017年の平均実質GDP成長率は6.8%です。経済規模が同程度のASEAN内中核の新興諸国である隣国のタイ(3.9%)、マレーシア(5.9%)、フィリピン(6.7%)と比べてもその高さがわかります。

経済政策として独特なのは、「ドイモイ(刷新)政策」という独自の政策を長年推し進めていること。通貨の流出制限をすることで、急激な市場拡大による通貨の暴落を回避するのが主な目的です。そのため、2009年のリーマンショックでも大きな動きはなく、順調に経済成長し続けています。
外資系企業が進出したい国としても急速に注目されています。一番の背景は、人口が9,000万人以上で、しかも平均年齢が30歳と非常に若年人口が多いことがあげられます。つまり、これから労働人口がどんどん増えていくわけです。しかも、優秀な労働者が多い国としても知られており、経済成長を支える原動力となっています。

昔は衣料品、今はハイテク製品の輸出が主力

最初にご紹介した「バインミー」がフランス文化を国内食材とうまく融合して生まれたことからもわかるように、ベトナムは外の文化やパワーをうまく取り入れて、力強く成長してきた歴史があります。
ベトナム戦争後の復興に時間がかかったものの、21世紀になってからは、近代的工業国としての体制を徐々に整えてきました。資本主義経済を導入するために2007年にWTO(世界貿易機構)に加盟。中国の人件費上昇もあり、「チャイナプラスワン」として、新たな生産拠点として役割が生まれた面もあります。
2000年当初は、衣料品を主な輸出品としてきましたが、現在は、大手IT外資系企業の一大生産拠点となりつつあり、コンピュータ・電子部品の輸出割合が2007年4.4%→2017年12.1%と急速にアップしています。サムスンの携帯端末の約半数がベトナムから世界に輸出されていることを考えても、その発展ぶりが推測できます。2017年時点では、ベトナムからの輸出額は、インドシナ半島では、経済発展で先行したタイ、マレーシアと並んで、シンガポールに次ぐ地位を誇っています。

ホーチミン初の地下鉄を建設中!インフラ整備による都市開発も

高度経済成長を遂げた当時の日本がそうであったように、急速に経済成長をした場合、どうしても遅れをとってしまうのがインフラ整備の問題です。
ベトナムの場合も、高速道路の建設、港湾の整備、大都市の地下鉄の敷設などの交通機関整備、水道、ガス、電気、通信設備などのインフラ整備、環境汚染など課題が山積みです。こうした課題に積極的に支援の手を差し伸べてきたのが、日本であり、かつての統治国であったフランスです。

主要ドナーの対ベトナム経済協力実績の表

上のODA(政府開発援助)の援助国(援助額順)ランキングを見ても、日本が常にトップに位置しています。さらに、かつての統治国フランスも上位にきています。
援助の内容をみると、港湾整備や火力発電所建設、下水道の整備と水質改善、地下鉄の建設など幅広いものになっていますが、その一方で、大学設置や技能者講座充実など人材の育成に力を入れているのが日本の特徴です。
労働コストの安さや国民の勤勉性、教育レベルの高さに注目し、ベトナムにもっと進出していきたい政府の狙いが垣間見えます。
また、こうした背景から、日本にベトナムからの留学生、技能者研修生が多いといった関係も生まれているわけです。

まとめ

ベトナム×バインミーのおいしい関係
バインミーは植民地時代に宗主国であったフランス文化をうまく取り入れ、ソウルフードとなりました。バインミーだけでなく経済面でも、ベトナムは外のものを取り入れて、たくましく成長する国といえるでしょう。
フランスとベトナムは引き続き良い関係を続けていますが、親日国でもあります。経済は安定的に成長しており、中長期的な目線で見ると、経済面でも文化面でも、より日本との親密性を高め、大きく成長していくことが期待されます。

バインミー

バインミーの写真

材料

ソフトタイプのバケット2本、豚肩ロース(焼肉用)150g、A(ヌクマム大さじ1/2〜、砂糖小さじ1)、大根と人参のなます※適量、サニーレタス1〜2枚、キュウリ1/4本、紫玉ねぎ1/8個分、バター適量、マヨネーズ適量、パクチー、レモン、ピーナッツ、シラチャーソース

作り方

1)豚肉は挟みやすい大きさに切りAで揉み込む。サニーレタスとキュウリは食べやすい大きさに切る。紫玉ねぎは千切りにし、水にさらして辛味をぬく。

材料の写真

2)フライパンに油少々(分量外)を熱し、豚肉を炒める。

3)バケットに切り込みを入れ、バターマヨネーズを塗り、野菜、肉(肉汁も)を挟み、好みでパクチーも挟む。好みで、レモンを絞ったり、ピーナッツ、シラチャーソースをトッピングする。

  • なますは、大根人参を各1/4本ずつ太めの千切りにし、塩小さじ1/2で20分なじませ、酢大さじ3、砂糖大さじ1、ヌクマム大さじ2/3に漬ける。
  • 2019年1月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。
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