利用者が増加傾向のNISA、2024年にどう変わる?
現状、NISAには「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3種類があります。
ジュニアNISAは2024年の制度改定で廃止されることが決まりましたが、一般NISAとつみたてNISAは引き続き利用可能です。
新NISAについては、やや複雑なルール変更があるので注意が必要です。なお、つみたてNISAについては、加入できる期間が2042年に伸びただけでそれ以外の変更はありません。
制度改正の内容を解説する前に、まずはNISA制度の基本について見ていきましょう。
2014年にスタートした一般NISAと2018年にスタートしたつみたてNISAは、老後資産の形成手段として人気が高く、口座数は年々増加傾向にあります。
- ※ 出典:金融庁「NISA・ジュニアNISA利用状況調査」のデータを基に、筆者作成。
- ※ 各年12月末時点のデータ(2021年のデータのみ速報値)。
- ※ 一般NISA口座数は、基準日時点で、金融機関に対してマイナンバーの告知がされておらず、各年の投資利用枠が設定されていない口座数を含む。なお、これまでに開設された口座数から金融機関変更に伴う変更前口座・廃止口座の数を差し引いて計上。
口座数の推移を見ると、現段階では一般NISAがつみたてNISAと比べて、より世間に浸透していることがわかります。
一方で、世代別の口座数を見てみると、株式も対象となり比較的投資経験者の利用が多い一般NISAは、高齢層での人気が高いことがわかります。そして、少額からはじめられて投資初心者に向いているつみたてNISAは、若年層からの人気が高いことが見えてきます。
- ※ 出典:金融庁「 NISA・ジュニアNISA利用状況調査(2021年9月末時点) 」のデータを基に、筆者作成。
- ※ 一般NISA口座数は、基準日時点で、金融機関に対してマイナンバーの告知がされておらず、2020 年の投資利用枠が設定されていない口座数を含む。なお、これまでに開設された口座数から金融機関変更に伴う変更前口座・廃止口座の数を差し引いて計上。
現行のNISAでも新NISAでも、一般NISAとつみたてNISAの併用はできず、どちらかを選択することになります。
ここからは一般NISAとつみたてNISA、それぞれの仕組みと改正のポイントについて見ていきましょう。
一般NISAの仕組みと改正のポイント
<概要>
年間120万円までの投資について、運用益が非課税になる仕組み。期間は最長5年。対象商品は上場株式、株式投資信託、ETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資)など。
5年経過後には、新たなNISA口座にロールオーバー(乗り替え)することで、引き続き、さらに5年間にわたって非課税で運用を続けることができます。
<改正のポイント>
- 新規にはじめられる期限が、これまでの2023年までから5年間延長され、2028年までになります。
- 投資対象商品が、2階建ての構造に。1階部分と2階部分それぞれに、対象商品と年間の上限額が設定されます。1階部分は、現状のつみたてNISAの商品が対象となり、積立のみの投資枠に。2階部分は、個別株や株式型投資信託などに投資することができます。
1階部分、2階部分を合わせて年間最大122万円、5年間で最大610万円の投資金額に対して、運用益が非課税になります。
1階部分は必ずしも上限20万円の枠を埋める必要はありません。少額でも積立投資を行えば、2階部分で投資を行うことができます。1階と2階で別々の商品を買うことも、1階と2階で同じ商品を買うこともできます。また、2階部分は、一括買い付けでも積立でもどちらでも投資可能です。