新社会人の8割以上が初任給を貯金! 年間100万円超を貯めた人も

新社会人の皆さんが初任給をどう使うか、どう貯めているかをみてみましょう。

三井住友銀行が行った独自調査によると、初任給のなかから貯金したと回答した人は8割超でした。「1~3万円未満」の人が最も多く、次いで「3~5万円未満」が多いという結果になっています。

「あなたは初任給のうち、いくら貯金しましたか?」という問いに対する回答のグラフ
  • 出典:三井住友銀行独自調査(2019年1月)19〜35歳の社会人男女6,263名を対象

また、同調査で年間貯金額を聞いたところ、「0円」と回答した人は約1割にとどまりました。つまり、9割の人は貯金をしていて、100万円以上貯めたという人も10%以上います。

「あなたは就職して最初の1年間で、いくら貯金しましたか?」という問いに対する回答のグラフ
  • 出典:三井住友銀行独自調査(2019年1月)19〜35歳の社会人男女6,263名を対象

こうしたデータから、初任給を手にしてもすべて使い切るのではなく、しっかりと貯めている貯蓄上手な新社会人の姿が伺えますね。

貯蓄上手になるには、はじめが肝心! 目標を決めて計画を立てよう

貯蓄上手になるには、貯蓄の目的を明らかにし、その目標額を設定することが大切です。まずは、今後の人生にかかるお金について把握しておきましょう。主なライフイベントとかかる費用の目安は次の通りです。

主なライフイベントにかかる費用の目安の図
  • 出産費用として出産育児一時金42万円の支給がある
  • 平均収入は月23.8万円

将来のライフイベントにかかる金額の目安が分かったら、自分の「貯蓄プラン」を立てましょう。その際のポイントは以下の2つです。

ポイント@貯蓄を目的別に整理しよう

「貯蓄」とひとくちに言っても、貯める目的は人それぞれです。自分のライフプランに合わせてお金を貯める目的を整理して、下の表のようにまとめてみましょう。趣味などわくわくする目的も加えておくと、モチベーションがアップします。

目的別貯蓄のイメージ(新卒で22歳の人の場合)の図
  • 新卒で22歳の人を想定し、目的別貯蓄のサンプルとして筆者作成。

目的を整理する際に、まず押さえておきたいのは「生活予備費」です。病気やケガ、失業など、人生は何があるかわかりません。万が一に備えて、生活費3〜6ヵ月分の「生活予備費」を優先して貯めましょう。
生活予備費が貯まったら、結婚資金へ切り替えて貯めていってはいかがでしょう。結婚資金の目安は521万円ですが、親・親族からの援助の平均が192万円なので、パートナーと2人で300万円を貯めておくようなイメージです。

ポイントA10年先までの貯蓄プランを立てる

次に、今後10年以内にかかる可能性があるお金(たとえば資格取得、旅行、趣味、結婚、住宅購入、起業など)を書き出して、時期と目標額を設定して貯蓄プランを立ててみましょう。
年齢とともに貯めたいお金の優先順位や金額配分をどう変えていけばよいが、見えてくるでしょう。

貯蓄額の推移イメージのグラフ
  • 新卒で22歳の人を想定し、貯蓄額のサンプルとして筆者作成。

貯蓄の目的が浮かばないという人は、「25歳までに100万円貯める」「20代で200万円貯める」といった数値目標でも良いでしょう。自分のモチベーションが上がる方法で目標を立てることが大事です。
また、一人暮らしなら「手取り収入の2割」、社宅や実家暮らしなら「手取り収入の4割」など毎月の貯蓄ペースを決める方法もあります。

自動で貯まる仕組みがカギ。「つみたてNISA」も要チェック!

手間をかけずにより貯められるのは、積立型の貯蓄です。一度設定すれば、毎月自動的に定額を積立貯蓄できるので、忙しい社会人にはぴったりです。

生活予備費や3年以内に確実に必要となる資金(たとえば、資格取得や海外旅行など)については、自動積立定期預金や職場の財形貯蓄などで、先取り貯蓄をするのがおすすめです。

生活予備費が貯まり、さらに当面は使う予定のないお金(たとえば、結婚資金や住宅取得費など)を貯める場合は、「つみたてNISA」で資産運用をはじめるという選択肢もあります。

年間40万円まで投資信託で積立投資ができ、最長20年は、運用で得た利益に税金がかからないというメリットがあります。投資できる商品は、手数料が低水準であるなど、長期での積立投資に適したものに限定されていて、資産運用がはじめての人でも利用しやすいところが特徴です。

【関連サイト】

積立商品を知る つみたてNISA: 三井住友銀行

節税をすることで、手取り額を増やす方法も

給料の額は同じでも、所得税や住民税を節税できれば、手取り額を増やすことができます。所得から差し引かれることで、税金がかかる所得の金額が減り、結果的に減税できる「控除」についても、社会人になったら覚えておきましょう。

■生命保険料控除

1年間に支払った保険料に応じて所得控除を受けられる制度

所得税の控除額の上限は12万円、住民税の控除額の上限は7万円です。たとえば、課税される所得金額が300万円で所得税・住民税ともに上限まで控除された場合、年間1万9,000円の節税効果があると試算できます。つまり、年間で1万9,000円の手取りが増えることになります。

【関連記事】

「生命保険料控除」、活用してる? 保険の見直しでかしこく節税しよう!

■iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)

老後資金の準備として積み立てるお金に対して、全額所得控除を受けられる年金制度

会社員の場合(企業型DCがない会社に所属)は、年間27万6,000円を上限に積み立てることができ、その全額が所得控除になります。
iDeCoの公式サイトでは税控除額をシミュレーションしてみると、たとえば、年収300万円の人が上限まで積み立てた場合、年間約4万円の節税効果があるという試算になります。つまり年間約4万円の手取り収入を増やしながら、老後に備えられる制度と言えます。

【関連サイト】

個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」 : 三井住友銀行

積み立てたお金は、未来の自分への贈り物になります。新社会人になったら将来のイメージを描きながら貯蓄プランを立て、できることからはじめてみてくださいね。

  • 投資については元本を割り込むリスクがあることも理解した上で、自己責任で行いましょう。
  • 2021年3月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。
  • 「主なライフイベントにかかる費用の目安」出典:
  • 結婚費用(婚約、挙式、ハネムーン、インテリア・家具・家電製品の購入費。*引越し・新居費用含まず):リクルート「ゼクシィ結婚トレンド調査2020」(家具家電のみ2018年調査)」/リクルートブライダル総研「新婚生活実態調査2018」をもとに筆者作成
  • 出産費用:国民健康保険中央会「出産費用の全国平均値(平成28年)」
  • 教育費:幼稚園から高校までは文部科学省「子どもの学習費調査(平成30年度)」、大学は日本政策金融公庫「令和2年度 教育費負担の実態調査結果」をもとに算出
  • 住宅購入資金:住宅金融支援機構「フラット35利用者調査(2019年度)」をもとに算出
  • 老後の生活費:総務省「家計調査年報(家計収支編)2019年」:高齢無職世帯の平均値
  • 介護費用:(公財)生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査(平成30年度)」の平均値

豊田 眞弓(とよだ まゆみ)

ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、相談診断士。FPラウンジ代表。マネー誌ライター等を経て、94年より独立系FP。現在は、個人相談のほか、講演や研修講師、マネーコラムの寄稿などを行う。6カ月かけて家計を見直す「家計ブートキャンプ」も好評。亜細亜大学等で非常勤講師も務める。「50代・家計見直し術」(実務教育出版)など著書多数。座右の銘は「今日も未来もハッピーに!」。

Webサイト:https://happy-fp.com/

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