新型コロナの影響でお金の考え方に変化が起きている

三井住友銀行は2020年4月27日〜28日、約5,000人を対象に、コロナ禍の私生活への影響についてアンケート調査を行いました(以下、当記事中のグラフ・表は全て同調査を元に作成したものです)。

新型コロナウイルス感染症による家計面の悪い変化として、「既に収入や貯金が減った」と答えた人は約25%。「今後減りそう」という人も含めれば、60%を超えています。

また、新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛や休業の影響を受けて、約半数の人が「お金に対する考え方が変わった」と答えています。

コロナ禍でお金への意識は、どう変わった?

コロナ禍による家計への影響を受け、お金に対する考え方はどのように変わったのでしょうか。
調査結果からは、@貯金・節約Aキャッシュレス決済B投資への関心が高まったことがわかります。

●節約・貯金意識の高まり

節約・貯金意識の高まりは、1人10万円の特別定額給付金の使い方にも表れています。
貯蓄や生活関連の支払いに充てると答えた人が大半で、趣味・レジャー関連に使うと答えた人は約20%にとどまりました。

●キャッシュレス決済への意識の高まり

家計面のこれからのコロナ対策として、「電子マネー・キャッシュレス決済を始めた・始める」と答えた人は56.7%と半数を超えています。

2019年10月の消費税増税にともなって始まった、キャッシュレス・ポイント還元事業では、対象店舗での支払いに対して2%〜5%が還元されています。
2020年6月30日に終了予定ですが、クレジットカードや電子マネー、スマホ決済(〇〇Pay)独自のポイント還元・クーポンを利用することで、今後も節約を図ることができます。

●投資への意識の高まり

新型コロナの影響で世界的に株価は下落しましたが、投資への関心はむしろ高まっています。

いずれも開始率が解約率を上回っており、「今がはじめ時」と思った人が多かったことがわかります。

また、上記の商品、制度を元々利用していた人に直近3ヶ月の運用方針を聞いたところ、投資信託や債券、NISAは、「運用額を増やす」が「減らす・解約する」を上回っていました。

2〜3月の株式市場の大幅な下落を、投資のチャンスと捉えた人が多かったようです。
長期的な視点を持ちつつ、投資対象や金額を検討する機会にしたいものです。

政府の支援制度を利用しよう

コロナ禍で先が見えないなか、節約や貯蓄の工夫を行いつつ、もらえるお金はもれなくもらえるようチェックしておきましょう。
政府はさまざまな支援制度を打ち出しています。
個人向けのものも増えてきているので、支給条件に該当するものがないか、チェックしましょう。

●特別定額給付金 (申請期限:郵送方式の申請受付開始日から3ヶ月以内)

1人10万円が支給される特別定額給付金は、世帯主が郵送かオンラインで申請を行います。
自治体から届く申請書に記入して返送すると、後日指定した口座に振り込まれるので忘れずに手続きしましょう。

●持続化給付金(申請期限:〜令和3年1月15日(金)まで)

売上が昨年の同じ月と比べ50%以上減少した中小企業、個人事業主を対象として持続化給付金が支給されています。
給付額の上限は、法人が200万円、個人事業主は100万円となっています。

●小学校休業等対応支援金(対象期間:令和2年2月27日〜6月30日、申請期限:令和2年9月30日)

小学校や幼稚園、保育園が休みになったことにより仕事ができなかったフリーランスなどに、小学校休業等対応支援金が支給されます。
現在は1日4,100円ですが、7,500円へ引き上げられる予定です。

●子育て世帯への臨時特別給付金(基本申請不要、公務員のみ申請期限:令和2年8月末日)

児童手当受給対象の子育て世帯へ、臨時特別給付金として児童1人あたり1万円が、児童手当登録銀行口座へ順次給付されます。
ただし、支給は1回のみで、高所得世帯(児童1人あたりの手当が5,000円の世帯)は対象外です。

●学生支援緊急給付金

自立して学費を賄い、アルバイト収入が大幅に減った学生に10万円(住民税非課税世帯は20万円)が支給されます。
支給要件が厳しいと言われていますが、通っている大学等が審査を行うので、まずは相談してみましょう。
また、独自で給付を行っている大学もあります。あわせて、確認してみてください。

このほか、新型コロナウイルス感染症の影響で仕事が休みになったものの休業手当を受け取ることができなかった中小企業の社員を対象に、直接給付金を支給する制度も創設される予定です(平均賃金の8割相当、月額上限33万円)。
子育て世帯への臨時給付金以外は申請が必要ですので、条件を確認して忘れずに申請しましょう。

私たちの暮らしはどう変わる?

会社勤めでまだ収入面での影響を受けていない人も、ボーナスの減少などにより今後収入減に見舞われる可能性があります。

まずは家計管理をしっかり行って無駄遣いを防ぎ、キャッシュレス決済なども利用しながら節約を図ることが大切です。

給付金などの支援制度は今後も拡充される可能性があります。受給できるものがあれば申請して、家計の助けにしましょう。

新型コロナ感染拡大前と比較して株価は下がっているので、投資を始めるチャンスという見方もありますが、当面は不透明な状況が続きそうです。
もし、今後の備えとして資産運用を始めるなら、分散投資によってリスク低減を図りつつ、長期的な視点でコツコツ増やせるつみたてNISAやiDeCoの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

新型コロナウイルス感染症との戦いはしばらく続きそうです。
正しい情報をもとに家計についてもできるだけの備えをして、危機を乗り越えていきましょう。

  • 当記事の調査回答の構成比は小数第2位を四捨五入しているため、グラフの合計は必ずしも100%にはなりません。
  • 2020年6月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。

歌代 将也(うたしろ まさなり)

ファイナンシャルプランナー(CFP®)、社会保険労務士。妻と子ども2人、住宅ローンありという普通のサラリーマンから、「うたしろFP社労士事務所」代表に。社会保険、マネー関連記事の執筆・監修やセミナー講師などを行い、お金のことで必要以上に不安を感じることなく、楽しく働き続けたい人と会社をサポートしている。

うたしろFP社労士事務所:https://uta-fpsr.com

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