一般NISAとつみたてNISAは別物?

一般NISAとつみたてNISAは異なる制度です。
まずはそれぞれの概要と、NISAが2種類できた背景を簡単に確認しましょう。

一般NISAとつみたてNISAの違い

以下に、それぞれの違いを一覧化しました。

【一般NISAとつみたてNISAの違い】

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一般NISA つみたてNISA
非課税で運用できる期間 5年間(最長10年) 20年間
非課税で投資できる
上限額(年間)
120万円 40万円
取り扱い商品 国内・海外株式、投資信託 金融庁が定めた条件を満たす投資信託のみ

一般NISA導入の背景

2014年1月に、投資で得た利益に税金がかからない「一般NISA(少額投資非課税制度)」ができました。

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、金融資産がゼロ世帯(二人以上世帯)は増加傾向にあり、平成24年には約30%に達しました。
また日本人の金融資産の大半は預貯金であり、その割合は他の国よりも突出して高くなっています。この家計にある膨大な預貯金を、投資を通じて企業に供給して経済成長を促し、その結果、家計がうるおい、さらなる投資をするという好循環を生み出すきっかけとなることを期待して一般NISAは誕生したのです。

一般NISAの基本や注意点、活用方法については以下の記事を参考にしてください。

【関連記事】NISAとは? 基本や注意点、活用方法を知ろう!

つみたてNISAの誕生

一般NISAは、年間の非課税枠120万円は魅力的な内容であったものの、非課税で運用できる期間が5年間と短く、効果的な運用方法とされる長期投資、積立投資ができないというデメリットがありました。
より非課税期間の長い長期投資、積立投資のメリットが生かせる制度が望まれていた中、2018年1月につみたてNISAが誕生しました。

併用はできない

一般NISAとつみたてNISAは1人で併用することはできません。
ただし、途中で切り替えることは可能です。

NISAとつみたてNISA、両方を使うには?

一般NISAとつみたてNISAは1人で両方使うことができません。
しかし、夫婦であれば夫が一般NISA、妻がつみたてNISAというようにそれぞれ異なるNISA口座を開設することができます。

つみたてNISAは比較的リスクが少なく安定した商品がそろっているため、家族で投資に回せる金額の一部はつみたてNISAで、残りは一般NISAの商品ラインナップからリスクが高い商品を選んで高いリターンを狙う、というように夫婦で力をあわせて分散投資を行うことが可能です。

一般NISAもつみたてNISAも非課税枠いっぱいに使わないともったいないと思う必要はありません。次の項目も参考にしながらそれぞれの特徴を把握し、いいとこどりをして資産形成に役立てていきましょう。

【夫婦での一般NISA・つみたてNISA併用例】

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目的 夫婦の老後資金をこつこつ貯めながら、余剰資金で ハイリスクハイリターンの投資にも挑戦したい。
職業 会社員 専業主婦
利用する制度 一般NISA(余剰資金の運用) つみたてNISA(老後資金の積み立て)
投資する
タイミング
ボーナス時 毎月こつこつ

一般NISAとつみたてNISA、どっちがおすすめ?

一般NISAとつみたてNISA、どちらがおすすめなのかは一概にはいえません。
それぞれの違いを理解して、自分の資産運用の目的に合っている方を活用しましょう。

【一般NISAとつみたてNISA、どちらがおすすめ?】

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一般NISA つみたてNISA
投資に使える
お金が・・・
多い人におすすめ(目安:年間40万円以上) 少ない人におすすめ(月1万円程度でこつこつ)
投資できる
期間が・・・
短い人におすすめ(目安:5年以内) 長い人におすすめ(目安:5年以上)
リスクと
リターンが・・・
高い方が良い人におすすめ 低い方が良い人におすすめ
購入する
商品は・・・
株式が良い人におすすめ 特別な希望がない人におすすめ

手元にまとまった余剰資金があり、短期〜中期運用が目的ならNISA

年間の非課税枠は一般NISAの方が120万と大きく、株式などリスクが高いが高いリターンも期待できる商品も選択可能です。ただし運用できる期間が5年と短く、利益が出せるとは限りません。
そのため手元にまとまった余剰資金があり、「非課税で少しでもお金を増やしたい」、「株主優待を楽しみたい」などの目的であれば、一般NISAが向いています。

手元にまとまった資金が無く、中〜長期運用が目的ならつみたてNISA

つみたてNISAは非課税枠が年間40万円と一般NISAに比べて少ないですが、運用できる期間が20年と長く、老後の生活資金など長期運用を目的とする場合に適しています。また商品ラインナップも、金融庁が定めた基準をクリアした商品のみが採用されているため※、老後の生活資金形成はもちろん、他にも「子どもの大学進学費用を貯めたい」、「10年以上先に家をリフォームする費用に充てたい」など長期でリスクをおさえて安定したリターンを得る目的で投資をしたい人に向いているといえるでしょう。

  • 投資には必ずリスクがあります。金融庁の定めた基準を満たしているから絶対に損をしないというわけではない点に注意しましょう。

一般NISAとつみたてNISAを切り替える方法

一般NISAとつみたてNISAは、切り替えが可能です。
金融機関も同時に切り替えるかどうかで提出書類も異なりますので、以下にそれぞれ解説します。

金融機関は同一で一般NISAとつみたてNISAを切り替える方法

一般NISAまたはつみたてNISAへの変更届出書を取り寄せ、必要事項を記入のうえ提出をすれば切り替えが可能です。

一般NISAとつみたてNISAを切り替え、金融機関も切り替える方法

NISAの切り替え方法(金融機関も変更する場合)

まずは切り替える前の金融機関に「変更届出書」を提出し、「勘定廃止通知書」を取り寄せます。新しく一般NISAまたはつみたてNISAの口座開設をする金融機関からは「口座開設届出書」を取り寄せます。
切り替え前の金融機関から取り寄せた「勘定廃止通知書」と、「口座開設届出書」に必要事項を記入したもの、マイナンバーカードまたはマイナンバー通知カードのコピーを新しく口座開設する金融機関に提出すれば、切り替え手続きが完了します。

金融機関を切り替える場合も切り替えない場合も、最初の口座開設時にマイナンバーの提出をしていない場合は、あらためてNISA口座を新規で作り直す必要があるため注意しましょう。

切り替えの注意点

一般NISAとつみたてNISAは1人で同時に利用することができません。
当年にすでに切り替え前の口座で投資を行っている場合、切り替えは翌年からとなります。

また、たとえば前年に一般NISAで株式を100万円分購入しており今年からつみたてNISAに切り替えた場合、前年に購入した100万円分の株式は引き続き5年間、配当金や売却したときの利益を非課税で受け取ることができることも知っておくと良いでしょう。

まとめ

一般NISAとつみたてのNISAはどちらも「投資で得た利益に税金がかからない」という点は同じですが、非課税で運用できる期間や投資金額の上限、商品ラインナップに違いがあります。

長期投資、積立投資はリスクを抑えながら安定したリターンを得られやすく、さらに安定的に運用できる商品が揃っているつみたてNISAは、老後資金の形成などに向いています。
一般NISAの最大の特徴は、商品の選択肢が豊富で、株式のようにリスクが高めの商品にも挑戦でき大きなリターンが期待できるという点です。

1人でNISAとつみたてNISAを併用することはできませんが、年単位で切り替えることは可能です。
また、夫婦の場合は夫が一般NISA、妻がつみたてNISAというように使い分けることができます。それぞれの特徴をしっかりと把握したうえで世帯単位でNISAの非課税枠を活用して資産形成に役立てていきましょう。

  • この記事は2020年12月時点の情報を基に作成しています。今後、変更されることもありますのでご留意ください。

金子 賢司

個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務めるファイナンシャルプランナー。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信している。CFP、日本FP協会幹事。

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