藤島大の楕円球にみる夢
(2026/05/04)

ゲスト/メエ羊山氏(「リコーブラックラムズ東京」私設応援団長兼コールリーダー)

三井住友銀行(SMBC)ほかがラジオNIKKEI第1で提供するラジオ番組「藤島大の楕円球にみる夢」は、スポーツライターの藤島大さんが素敵なゲストを迎えて、国内外のラグビーや日本代表などの幅広い情報を詳しく伝えています。
5月4日放送のゲストは、リコーブラックラムズ東京の私設応援団長兼コールリーダーのメエ羊山さんです。

藤島スポーツライターの藤島大です。ゲストはリコーブラックラムズ東京、私設応援団長兼コールリーダー、メエ羊山さんに来ていただきました。よろしくお願いします。

羊山よろしくお願いします。

藤島まず、このメエ羊山という名前なんですけど、私は「メエようざん」かと思ったら違って、「ひつじやま」ですよね。

羊山そうなんですよ。もともと急に応援団長になったので名前がなかったんですよ。ただ、チームの会報に原稿依頼が来まして、そのときに名前が必要になるというのですね。その電話が六本木あたりを歩いていたときに来ました。「本名を出したくない、ちょっと待ってください。折り返します」と返事したときに、ちょうどハリウッド美容専門大学校がありまして、メイ牛山先生の名前から、「メエ羊山」を。

藤島プロフィール、我々が必死で調べましたら、ラグビー歴があります。千葉県立千葉高校ですね。ポジション聞かれると思うんですけど「どんなプロップでしたか?」と言われると思うんですね。私はね、意外とフルバックじゃないかと思ったんですけど、ラジオNIKKEIの総力取材では、1、2年はフランカー。

羊山そうなんですよ。

藤島2年の秋からプロップですか。

羊山そうなんです。

藤島その後早稲田大学に。早稲田ではお笑い関係のサークルで、ラグビーではなかった。

羊山サークルというか自分が立ち上げて。僕1代で終わりました。

藤島そうですか。 早稲田ってお笑いの人、結構いるじゃないですか。知り合いとかいたんですか?

羊山向こうは覚えてないかもしれないけど、小島よしお君と草野球をやったことあります。 彼も千葉、稲毛なんですよ。

藤島大学を卒業して、いわばかたぎになる。

羊山そうですね。ラグビーはずっと好きで見てはいました。

藤島プレーを離れて、でも見るのが好きだっていう人間が、今、応援席にいる。何が起こったんですか?

羊山僕「青春18きっぷ」とかで日帰りの旅みたいなのをしていたんですけど、山梨でリコーの試合があったんですよ。山梨なら行って帰れるので行ったんです。そうしたら、もともとあった応援団の人たちに、「秩父宮にいたけど山梨にも来てんじゃん。こいつガッツあるな」って思われたらしいんですよ。そのときちょうど団長がいなかったので、「やってくれない?」って言われたんですよ。旅の恥はかき捨てだと思って、そこでキャップ1がつきまして。

藤島それは何年ですか?

羊山2009年のシーズン途中です。次の週は秩父宮で試合だったんです。「今週もやって」と言われたからやったんですけど。リコーのファンの方は「あいつ誰だ」ってなるじゃないですか。試合の次の日、リコー社内でも話題で。

藤島2009年の途中にそうなって以来、ほぼ欠かさず?

羊山やめどきを逃したというか。怖くてちゃんと調べてないんですけど、17年目なので、200、250試合を超えていると思いますね。

藤島なぜブラックラムズだったかは今のが理由ですね。基本的には最初に行った試合が。

羊山それもあるし、応援しがいのあるチームだから。応援しなくても勝つチームだとやる意味ないじゃないですか。だから僕ね、野球はロッテとかヤクルトとか好きなんです。これから強くなるところを一緒に盛り上げていきたいところもありまして。逆に常勝チームの方ってマイナス思考になっちゃうじゃないですか。負けたときに「負けやがって」みたいな感じに。僕らは基本、加点方式なので。

藤島今季は好調で、今4位。体調に変化ないですか?

羊山胸がドキドキしますね。

藤島でも、本当明らかに良くなりましたね。ブラックラムズはみんなこう、選手や関係者に聞くと、みんなヘッドコーチがいいと言いますね。タンバイ・マットソン。

羊山僕らブラックラムズの応援団って、全体を指して「ブラックラムズファミリー」って言うんですよ。選手も含めて。タンバイは、お父さん感がありますよね。本当、ファミリーとして機能している感じがすごくありますね。

藤島今日聞きたかったんですけど、4月26日ですね、勝ったらプレーオフが決まるというトヨタヴェルブリッツとの試合が秩父宮ラグビー場でありました。メエ羊山さんがやっている応援の実力は知ってるつもりでしたけど、それと離れたメインスタンドのブラックラムズのファンの人たちのいいプレーに対する反応が、もうジャパンのテストマッチをみんなが応援しているときのような感じで、ああ、そういうことかと思ったんですね。つまり、鳴り物で誘導したかもしれない。いつの間にか、それに乗ってきた人たちが目利きになっていく。

羊山うちのファンはジャッカルのときにちゃんと沸くんですよ。リプレイを見る前にジャッカルが決まった瞬間にわっとなる。すごいレベルが上がってきたなと思います。

藤島思いました。反応が速い。これもちょっと聞きたいんですけど、最初葛藤あったんじゃないかと私は想像するんですよね。つまり、ラグビーに鳴り物はどうなのかとか、自然な応援がラグビーだっていう文化が一方であるじゃないですか。考えたことあります?

羊山もちろんです。正直、今やっているのが正解だとは全然思ってないです。自然発生的な、というのも分かるんですよ。ただ、例えばイングランド代表で「スイングロー」を歌うのも、誰かが歌い出したから歌うわけじゃないですか。絶対に1匹目の羊が必要になるわけですよ。それになればいいじゃん、ということですね。

藤島僕が記者の頃だから1990年頃かな、その後ぐらいかな、野球も、鳴り物文化はけしからんって言うインテリ系の人たちがいました。だけど、ないと寂しいとみんな気づきましたね。

羊山子どもが来て、試合を見ないで、階段上り下りしているのを見て心が痛んだんですよ。ただ、こういうところを見れば、というポイントが分かれば彼らも応援してくれるじゃないですか。応援からラグビーを知る、というのはありますよね。

藤島もう25年ぐらい前だと思うんですけど、新聞のコラムのネタにしようと、甲子園球場の阪神の試合の一般の切符買って、外野に潜り込んだことがあります。たくさんの観光客、その中に西洋人がいたんです。で、あの応援団の応援を喜んでいるんですよ。あれが楽しみで来ている。ああ、楽しいもんなんだと思いました。
チームが強いとやっぱり嬉しいでしょう?

羊山みんな、今嬉しいと思いますよ。最近のファンの方は、入れ替え戦常連だった時代とか知らないと思いますけど、シーズン終盤で入れ替えのことを考えなくていい。計算しちゃいました。もう大丈夫か?大丈夫か?って。さらに言えば、もう負け越しはなくなりましたからね。そういう言い方しているのは、やっぱり常に最悪のことを考えている、それが身に付いちゃってるからですよ。本当に。

藤島ずっと伴走してきてというかね、月並みですけど、喜びもひとしおですね。優勝したらどうなるんですか?

羊山どうするんでしょうね。スタンドで手を挙げながら絶命しているんじゃないかってよく言ってますけどね。
女性やお子さんが来ても楽しくしたいです。だから、例えば酔っぱらっていると野次もきつくなったりしますけど、応援をやっているというのは、そういう野次を出す隙も与えたくないという思いもあります。もちろんいい緊張感がある試合はいいんですけど。

藤島野次はね、達人じゃないと駄目なんですよ。ちょっとみんながくすっとするような。

羊山この間のトヨタヴェルブリッツ戦で、トヨタの反則がかさんでシンビンになったとき、僕は「カイゼンしろ」って言ってやったんですよ。バカウケだったですね。結局「カイゼン」してトヨタが勝っちゃいましたから、うちのチームに大失敗じゃないかって話ですけど。

藤島昔の近鉄、おじさんが自分のチームの選手に「夜勤明けか」って言ったんですよ。あの頃、選手に駅員さんがいたんですよ。だから動きが鈍いと「夜勤明けか」と。

羊山お母さんみたいですね。それは。僕ね、ラグビーを一番楽しんでいるのは選手のお母さんだっていう持論がありまして。基本的にラグビー始めたとき、すごく心配したじゃないですか。その子たちがだんだんたくましくなって、それこそリーグワンとかで活躍している選手だったら、各国の代表相手にギャーンって行くのを見るお母さん、最高だと思いますよ。兄弟でラグビーやる人が多いのも、僕の持論では、だんだんお母さんが怪我とかに慣れてくるから。最初の長男が超えたことが大きいんですよ。
野次とかを考えたときに、僕は、ラグビーは母性本能で見るべきだと思うんですよ。父性があると「お前、今日駄目だった」みたいなこと言っちゃうじゃないですか。でも、お母さんは「頑張ってたね」としか言わないじゃないですか。そういう目で見て育つのを楽しみにしましょうという形がいいなと思うんですよ。

藤島やっぱり応援のカルチャーというのはこれからもっと注目されていく気がしますね。一時期の、それこそ鳴り物がいいのかっていう野球の論争から時を経てそういうものをクリアして、応援というのは人間にとって何なのかとか、コミュニティになり得るんじゃないかとか、そういうところに行く気がするんですよね。
日本のファンって優しいというのは、海外の選手も言っていて、それも1つのカルチャーですよね。とげとげしくない。

羊山選手からは厳しいこと言ってくださいとか言われたりするけど、僕は、北風と太陽だったら、太陽になりたいんです。

藤島最後、しゃべりたいことを。

羊山僕はね、かなり前の方で見させてもらっているから、自分が一番楽しまないと周りも巻き込んでいけないなと思うんですよ。コールリーダーとして続けていくからにはチームが勝つことを喜んでいきたいなと思っていますしね、一緒に喜べる人が増えていけば。「ファミリー」って言っているのは、ファンだと辞めちゃうかもしれないじゃないですか。ファミリーだと、しばらく来なくてもファミリーではある。

藤島私は思うんですけど、好きで好きでたまらないことをしている人を見るのって、楽しいんですよね。幸せな気持ちになる。そこに何かこれからの色々な文化の鍵がある気がしてならないので、今日はお会いできて嬉しいですね。
話は尽きないところですけれども、今月のゲスト、リコーブラックラムズ東京の私設応援団長、メエ羊山さんでした。ありがとうございます。

羊山ありがとうございました。

5月4日ラジオNIKKEI放送
「藤島大の楕円球にみる夢」
text by 松原孝臣

ラジオ番組について:
ラジオNIKKEI第1で放送。PCやスマートフォンなどで、ラジコ(radiko)を利用して全国無料にて放送を聴ける。音楽が聴けるのは、オンエアのみの企画。放送後も、ラジコのタイムフリー機能やポッドキャストで番組が聴取できる。動画版はU-NEXTで配信中。

5月4日放送分ポッドキャスト http://podcasting.radionikkei.jp/podcasting/rugby-radio/rugby-radio-260504.mp3
U-NEXTでは画像付きの特別版を配信 https://www.video.unext.jp/title/SID0100786