藤島大の楕円球にみる夢
(2026/08/03)
ゲスト/千葉太一選手(リコーブラックラムズ東京)
三井住友銀行(SMBC)ほかがラジオNIKKEI第1で提供するラジオ番組「藤島大の楕円球にみる夢」は、スポーツライターの藤島大さんが素敵なゲストを迎えて、国内外のラグビーや日本代表などの幅広い情報を詳しく伝えています。
8月3日放送のゲストは、リコーブラックラムズ東京のプロップ、千葉太一選手です。
藤島スポーツライターの藤島大です。 本日のゲスト、リコーブラックラムズ東京のプロップ、左右をこなします、千葉太一選手です。これは、私が勝手に考えているんですけど、ブラックラムズのラグビー博士として知る人ぞ知る、業界で噂になっている人です。あとで、ゆっくり聞いていきます。よろしくお願いします。
千葉よろしくお願いします。
藤島プロフィールを私の方から紹介します。1994年9月22日生まれ、東京都の江戸川区の出身です。5歳からラグビーを始めました。最初、千葉の市川ラグビースクール、それから江東ラグビースクールでプレーの基礎を築きます。で、早稲田実業学校中等部ですね、いわゆる中学。受験をして入って、そこから早稲田大学にそのまま進んで、ラグビー部にも所属しました。大学2年に公式戦、赤黒ジャージを着て、3、4年時は右プロップのレギュラーとして活躍しました。2017年、リコーブラックラムズに入ります。2年目、2018年シーズンのあれはパナソニック戦でしたね。2025年、私も初めて知りましたけれども、ラグビーのコーチのA級ライセンスを獲得。ということは将来、コーチになりたい気持ちを持っている?
千葉はい、一応考えております。
藤島
今のサイズ176センチ、115キロです。
色々聞きたい話はありますが、やはりこの間のシーズンですね。力をつけて、最後、あのサンゴリアス戦の劇的な幕切れもあった。「お、ペレナラ、なぜこの判断」と。まあ、これはこれでいいんですけれども、明らかに私が見ていても力をつけた中にいて、2024年に今のヘッドコーチ、タンバイ・マットソンさんがやって来て、どうですか?
千葉チームの成長を感じた部分としては若手選手の成長と、チームがひと試合にかけるその思い、プラス、チームが何をしなければいけないか、明確になったシーズンでした。勝ったとき負けたときの理由も明確になったことでチームとしても自信がつきました。
藤島その流れで聞いていきますけど、これもリスナーの私の知り合いたちの希望です、TJ・ペレナラ選手、どんな人か?
千葉チームを前に常に進めてくれる人、そして、チームの中で一番ストイックな人。 試合の次の日に10キロ走っているような人を初めて見ました。チームへのスピリッツ、あとはリスペクトがあるんですよね。 日本語をかなり勉強してくれる。今までの外国人は遠い存在って感じだったんですけど、彼がぐっと近づいてくれることによって、彼に対してものを言えるし、彼が言っていることに対して、リスペクトもできる。 そういう人間ですね。
藤島あのプレーオフのサンゴリアス戦、35−33とリードして逃げ切るところで、最後、ペナルティゴールをあえて狙った。私なんかは外れたら、サンゴリアスは展開力あるし、怖いよなってちょっと思いました。 外れて逆襲され逆転されるわけですが、オールブラックスのあれだけの人がこの判断をするところにきっと理があるに違いないと我々も思っちゃうんですよね。試合後の雰囲気とか、正直どうだったんですか?
千葉クラブの中でもどれが正解だったか本当に分からないです。結果論になるのを分かった上で、僕らフォワードとしてはスクラムで良かったんじゃないか、ラインアウトでもよかったんじゃないか。結構ミーティングで落とし込んでいたはずだけど、あの場面で1本の筋としてできていなかったというのはあったんですね。 他のチームの大学の先輩から、「これはチームとしての問題じゃないの。外から見ている人間も中に入っている人間も同じオプションじゃなきゃ本当はいけないんじゃないか」と言われてはっとしましたね。
藤島W(早稲田)大学としては、痛いところをついていきますね。
千葉めちゃくちゃつかれました。
藤島フロントローはスクラムがいけてるんだからスクラムで行けばいい、これ面白いですね。その流れでいきますけど、スクラム、どこが良くなったんですか?
千葉フロントローミーティングを試合の週の月曜日のお昼にするんですよ。そこで、相手に対してどうやって組んでいくかフロントロー全員で話して落とし込んでいくんですね。その中心がパディー・ライアン選手なんですけれども、みんなでディスカッションしてやることがクリアになっていることで選手としての知識も上がって、フロントローとしてのコネクションも高まったということ。あとは練習の方が試合よりきついスクラムを組んでいると感じられて、 自信が積み重なったことが良かったです。
藤島3番、右プロップのパディー・ライアン選手、よそのクラブの人も「リーグワンで一番スクラムの強い人間ではないか」と言うんですけど、同じ3番を競っているわけですよね。この際聞きますけど、パディー・ライアン選手、強いですか?
千葉めちゃくちゃ強いです。 練習していても強度が違うというか。 僕は左右両方できるからこそ、彼のトイメンでも組むことがあったんですけど、一番圧力を受ける。 間合いとか技とか、言葉では伝えきれないことがたくさんある。
藤島力が強そうなイメージですけど、力だけじゃないですか?
千葉じゃないですね。組み方一つにしても円熟味を帯びている。
藤島パディー・ライアン選手、直感なんですけど、 あの人ちょっと教養のある、なんか自由な魂を持っているというか精神を持っている人に映るんですよね。
千葉結構厳しく言うところは言うんですけど、包容力というか、スイッチのオンとオフの切り替えが素晴らしいです。 オフになったらすごく優しいパパをしていますし、グラウンドに行ったら激しい。プロップのあるべき姿を彼がグラウンドで体現してくれています。
藤島最初に紹介しましたけど、世界屈指のラグビー博士だと色々な人に聞きました。試合を見るのが趣味で、色々なレベルの試合を見ていると。
千葉そんなつもりはないんですけどね。
藤島たまの休日、家族を置き去りにしてラグビーを見に行ってしまうと。
千葉それは事実です。
藤島フッカーの武井日向選手が「彼は私のことを私より知っています」と。
千葉彼の場合は高校から知っていました。まず地区大会の予選をリストアップして注目校を全部洗い出して、予選を全部見てから、だいたいラグビーマガジンで注目選手を何人かピックアップして、花園を見て追いかけるみたいなことをしていました。僕の中では目利きというか、雰囲気とか持っているものをいいなと思った選手は、だいたいリーグワンに来ていますね。
藤島小学校の時に早稲田実業の中等部を受験しようと。これ、ラグビーと関係あるんですか?
千葉これは明確にあって、早稲田でラグビーをすることが僕の小学校の時の人生最大目標で、だからこそ受験をしました。
藤島晴れて合格してラグビー部に入る。プロップだったんですか?
千葉色々なポジションをやりました。 中学の時は僕以外に経験者がいなくて、ハーフもやったことありますし、スタンドオフ、センターもやったことあるし、基本はフォワードだったんですけど、色々やりました。
藤島そのままエスカレーターで早実ですね。そこからはフロントロー?
千葉はい、フロントローひと筋で。
藤島で、大学に飛び込む。2年でもう公式戦に出た。
千葉たくさんの人たちに、それこそリコーのOBの佐藤友重さんには本当にお世話になりました。周りはスーパースターだらけの時に入ったのでやれるだけでも幸せだったっていうのもありますし、ラグビーの楽しさをもう一回確認できました。
藤島例えば、同期では誰ですか?
千葉桑野詠真ですね。上は垣永真之介さんが主将、副将が金正奎さん、その一つ下に小倉順平選手。 とんでもないところに入っちゃったけど、その人たちもめちゃくちゃ練習しているのを見て、練習しなきゃ出られないんだな、と。
藤島自分でリストアップして、注目して見ていた人が同じチームに何人も。
千葉めちゃくちゃいました。 感動しました。
藤島後輩にそれこそ今のジャパンの齋藤直人選手がいましたね。もちろんリストアップしていたでしょう?
千葉もちろん。
藤島一方でクラブ全体を見ると、無名校出身の初心者もいるじゃないですか。
千葉います。でも、叩き上げの選手たちが4年間頑張って、最後、明治と慶応を倒して日本一になっていく姿というのが早稲田の良さ。僕はそういうところが好きです。
藤島赤黒ジャージを着られて自分でリストを挙げていた人と一緒にプレーをした。そこでラグビーは終わりと思ったのか。どうだったんですか?
千葉最初入った時は会社員になるんだろうなというイメージでしたけど、2年生の時、本人は覚えていないんですけど、布巻峻介さんに「上に行った方がいい」と上井草の風呂場で言われました。
藤島風呂の一言って効くんですよね。
藤島千葉太一という人は、スクラムももちろん5時間ぐらい喋るんですけど、大きな戦術も語れる。 今、ラグビーをまた見てるんでしょう。
千葉そうですね。ネーションズチャンピオンシップは見ていました。
藤島インターナショナルの北半球、南半球が出てきて、何を感じますか?
千葉スクラムは日本も対抗できていると思うんですよ。フッカーの江良颯選手とか原田衛選手の駆け引きの部分は世界にも通用していると思います。 海外はハイボールのコンテストの勝負の精度が高いなと感じました。この間のフランスと日本戦だと、フランスの9番、マキシム・ルク選手のキックが的確だし距離もあるし高さもある。 落とす位置が今まではタッチライン際の5メートル以内に落としていたのが、ミドルスペースに落としてくるところがフランスならではかもしれないですけど、ちょっと違うなと。あとは9番、10番、15番のキッカーの質というところ。9番から蹴るのがこれからもっと増えてくるんだろうなとフランス戦を見て感じましたね。
藤島戦術を大好きな一選手としては、ジャパンの今をどう思いますか?
千葉フォワードのフィジカルである程度は勝負できるんじゃないかというのが大前提なんですけれども、敵陣22メートルの中への入り方がまだ確立されてないんじゃないか。あれだけのフォワードがいれば、もうちょっと簡単に入って。 そのエリアで戦った方がいいんじゃないか、と。
藤島なるほど。この2シーズン、やや不本意だった。今、何を考えていますか?
千葉去年、出場はそれこそ1試合9分だったんですけれど、出たときにめちゃくちゃ嬉しかった感情は忘れないので、開幕戦を狙いに行くというところなんですけど、もっと試合に出てチームに貢献したいというのが一番ですね。
藤島目利きの目で千葉太一を評価すると?
千葉スクラムでの信頼感をチームの中で上げないことには試合に出られないんだろうなっていうのは素直に思います。そのための準備もしてきましたし、12月までにチームでの信頼を得られるように頑張っているところですね。
藤島最後にこれだけは言っておきたいということは?
千葉今年のブラックラムズは去年よりもさらに強くなると信じていますし、僕自身もどんどん強くなる、成長できると信じています。最後の1秒まで諦めず勝ちにこだわり続けるところを見て欲しいです。
藤島今日、実はこのスタジオに来る前、社員として仕事をしてきて、環境関連のISO14000の試験に合格した、と。仕事も充実していますか?
千葉社員選手であることの意義はすごく感じています。周りの皆さんからのサポートも厚くしていただいているし、「見たよ」「いいね、チーム」と言ってくれるだけでも選手として誇りです。
藤島子どもの頃に思い描いたのと違うけれども、いいラグビー人生じゃないですかね。
千葉あの頃とはまた違った視点とか、色々な人たちと関わってきて、今が一番充実しているんじゃないかっていうぐらいラグビーが楽しいですね。
藤島今月のゲスト、リコーブラックラムズ東京のプロップ、左右をこなす千葉太一選手でした。ありがとうございます。
千葉ありがとうございました。
8月3日ラジオNIKKEI放送
「藤島大の楕円球にみる夢」
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by 松原孝臣
- ラジオ番組について:
- ラジオNIKKEI第1で放送。PCやスマートフォンなどで、ラジコ(radiko)を利用して全国無料にて放送を聴ける。音楽が聴けるのは、オンエアのみの企画。放送後も、ラジコのタイムフリー機能やポッドキャストで番組が聴取できる。動画版はU-NEXTで配信中。
8月3日放送分ポッドキャスト
http://podcasting.radionikkei.jp/podcasting/rugby-radio/rugby-radio-260803.mp3
U-NEXTでは画像付きの特別版を配信
https://www.video.unext.jp/title/SID0100786