経理

公開日:2023.02.17

外国為替とは?外国為替取引に関する注意点や銀行サービスの機能などを解説

外国為替とは?外国為替取引に関する注意点や銀行サービスの機能などを解説

代金の決済を、現金を使わず金融機関を介して行う仕組みを為替といいます。これは外国との間でも行われ外国為替と呼ばれます。外国為替はどのような仕組みで行われるのでしょうか。本記事では外国為替における種類や注意点、銀行サービスの機能について解説します。

外国為替とは

為替とは、代金(債権・債務)決済を、現金を使わずに金融機関を介して行う仕組みのことです。
例えば、100万円の商品を仕入れた債務者である東京の法人A社がその代金を大阪の法人B社に現金で支払わなければならない時、A社は大阪まで現金を持っていかなければなりませんが、この場合、盗難・紛失の危険や手間がかかります。そこでA社は取引銀行であるC銀行に100万円を支払い、B社の取引銀行であるD銀行を経由してB社に代金を支払う送金・振込の手法である為替を利用することで現金を持ち運びすることなく支払いを行うことができるのです。

外国為替とは、上記の為替取引の仕組みが何らかの事由から、外国との間で行われるものです。
例えば、日本にいる人が、外国にいる人から商品を買い、その商品代金を外国にいる人へ支払う場合や、その逆がこれにあたります。

外国為替の仕組み

外国為替相場とは

外国為替取引は、通貨の異なる国の者同士の決済となるため、多くの場合通貨の交換を伴います。
例えば、日本の業者が米国の業者から米ドル建で代金を受け取る場合、受け取った米ドルを日本国内で円貨として使用するには、米ドルを円に交換する必要があります。その際の交換比率を「外国為替相場」といいます。

外国為替相場の変動要因には、中長期的な要因と短期的な要因があります。中長期的に外国為替相場に影響を与える代表的な要因として購買力平価(2国間の購買力が等しくなる為替レート水準)と2国間の経常収支(1つの国が海外とモノやサービスの取引をした際の国としての収支)が挙げられます。短期的に外国為替相場に影響を与える代表的な要因として為替介入や金融政策の変更といった政治的要因や突発的に発生する地政学リスクが挙げられます。

外国為替の種類と銀行サービスの機能

外国為替の場合、資金決済はコルレス契約と呼ばれる2つの銀行間の取り決めに基づいて行われ、支払うべき人(送金人)がお金を送る「並為替」と、受け取るべき人(受取人)がお金を取立てる「取立為替」に分けられます。
ここではそれぞれの種類について、三井住友銀行の外国為替専用のインターネットバンキング、Global e-Tradeサービスと併せて説明していきます。

並為替

並為替とは、送金人(債務者)から受取人(債権者)に資金を送金して決済する方法です。実際に行われる主な手法として電信送金があります。

・電信送金

電信送金は送金人から送金の依頼を受けた銀行が受取人への支払指図を支払銀行宛に電信「SWIFT」により行う一般的な送金方法です。なお、SWIFT(スイフト、Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)は、国際銀行間データ通信システムの略です。

電信送金の仕組み

<電信送金が可能な銀行のEBサービス>

三井住友銀行の外国為替専用のインターネットバンキング、Global e-Tradeサービスでは電信送金について以下のサービスが利用可能です。

(仕向送金サービス)

パソコンの画面上で外国送金依頼書の作成、承認ができ、外国向けまたは非居住者向け(円建を含む)、国内向け外貨建送金が可能なサービスです。画面上で外国送金依頼書の控えや計算書、送金結果の確認もでき、過去に作成した依頼書を再利用して依頼書を簡単に作成できます。

(被仕向送金サービス)

海外からの送金があった際、電子メールで到着案内が届き、画面上で送金内容を確認、入金指示が可能なサービスです。海外から到着した外国送金内容をいち早く確認し、簡単に口座入金が可能であることに加え、計算書や送金明細を画面上で確認できる為、郵送などのやり取りが不要になります。

取立為替

取立為替とは債権者が債務者に資金を取り立てて決済する方法です。実際に行われる主な手法として為替手形があります。

・為替手形

為替手形とは、債権者である手形の振出人 (作成者)が債務者に対して一定の期日に一定の金額を銀行に支払うよう委託する有価証券のことです。振出人が手形を債務者に送り、債務者がその手形の支払いを約束することで、振出人は資金を受け取ることができます。為替手形は輸出入取引において船荷証券やインボイス等の船積書類を付けた荷為替手形としてよく利用されています。

<為替手形を利用可能な銀行のEBサービス>

三井住友銀行の外国為替専用のインターネットバンキング、Global e-Tradeサービスでは為替手形について以下のサービスが利用可能です。

(輸出手形買取・取立依頼サービス)

パソコンの画面上で三井住友銀行宛の買取・取立依頼書類や為替手形の作成を行い、貨物の発送明細書であるインボイス等の貿易書類とともに、インターネットで三井住友銀行へ送付を行うことができるサービスです。計算書や決済状況、貿易書類の発送状況を画面上で確認することが可能です。(この取引では三井住友銀行の所定の審査が必要となります)

外国為替取引での注意点

外国為替取引を行う際には様々な注意すべき事項があります。ここでは外国為替取引の注意点について見ていきましょう。

国際ルール・取引相手国の法的規制等を受ける

外国為替取引は国内為替取引とは異なり、外国にまたがって行われる行為・取引であることから、取引相手方の国の法律・慣行・慣習の規制を受けるほか、国際的な慣行・慣習の適用を受けることになります。法制度や慣行・慣習の異なる国との取引では国際商業会議所(ICC)の制定した国際規則が多くの銀行で採用・運用されているため、国際規則に習熟、把握しておくことが重要です。また、海外でトラブルが発生した際には取引相手国の法律の適用も受けることにも留意しておきましょう。

外国為替および外国貿易法や犯罪収益移転防止法等の適用

外国為替取引において遵守すべき主な法令として「外国為替及び外国貿易法」(以下「外為法」とする)、「犯罪収益移転防止法」があります。

「外為法」は、外国為替と外国貿易に関わる取引や行為を規律している法律であり、対外取引を貿易取引と貿易外取引に大別し、さらに貿易取引を輸出取引と輸入取引に、貿易外取引を貿易外経常取引、資本取引、対内直接投資等に区分して規制を定めています。銀行は各取引について以下に記載する外為法上の規制対象取引に該当しないこと、もしくは許可を得ていることを確認する義務があります。

また「犯罪収益移転防止法」は、犯罪による収益の移転を防止する重要性に鑑み、マネー・ローンダリング防止及びテロリズムに対する資金供与の防止を目的とした法律です。外国為替取引に関わる条文では、仕向外国送金の「通知義務」(犯罪収益移転防止法第10条)があり、銀行は送金金額に関係なく「名称」、「本店または主たる事務所の所在地」、「口座番号」などを支払銀行に通知しなければなりません。

外為法上の規制対象取引
貿易に関する規制 ・北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入及び仲介貿易取引
・北朝鮮を仕向地とする貨物の仲介貿易取引
制裁対象に関する規制 ・テロリスト等、外為法で指定される資産凍結対象者への支払
・北朝鮮に住所や居所を有する自然人若しくは、北朝鮮に主たる事務所を有する法人その他の団体への支払
・上記北朝鮮の自然人、法人その他の団体により、実質的に支配されている法人その他の団体への支払
送金目的に関する規制 ・北朝鮮・イランの核関連活動等に寄与する目的の取引
・漁業・皮革又は皮革製品・武器・武器製造関連設備・麻薬等に関連する組合等の、外国における事業活動のための支払

上記に加え、現在ではウクライナをめぐる国際情勢を踏まえ、ロシア・ベラルーシにおいても、外為法に基づく措置が講じられています。

OFAC規制の適用

外為法以外にも、外国為替取引において一番多く用いられている米ドル建取引では、米国の「OFAC規制」に留意する必要があります。OFACとは「Office of Foreign Assets Control」の略称で米国財務局外国資産管理局を指します。米国はOFACを通じ、国際麻薬取引、テロ等の活動に関係している国家、組織、個人を経済制裁対象に指定し、資産凍結等の経済制裁措置や禁輸措置を実施しています。
「OFAC規制」は全ての米ドル建取引が対象となり、米国内に所在する者はもとより、米国外の米国籍個人・団体、米国永住権のある外国人も含み、更に外国銀行の在米支店もOFAC規制の適用対象となります。

OFAC規制による制裁対象
制裁対象国 ・イラン・北朝鮮
・シリア・キューバ
制裁対象地域 ・ウクライナのクリミア地域
・ドネツク人民共和国(自称)
・ルハンスク人民共和国(自称)
制裁対象個人・法人・団体名 SDN(Specially Designated Nationals)リスト等に記載

時差等に伴う決済リスク

外国為替取引では取引相手国の時差の関係で、同一日付、時間帯等で決済できないリスクがあります。例えば、米国からの電信送金では時差によって日本での資金の受取は必ず翌日以降になるため入金時期については注意するようにしましょう。

外国為替取引を行う際には、ポイントを押さえ様々なリスクに注意を払いましょう

近年、日本企業の海外取引は、その数、規模とも拡大を続けています。特に最近では、国内需要の頭打ち感から、国内取引が中心であった企業でも、新たな収益機会を追求して海外への販路拡大を行うところも増えています。しかしながら、企業が外国為替取引を行うにあたっては、さまざまなリスクが伴うため、注意すべきポイントを押さえて外国為替取引を推進していく必要があります。

三井住友銀行が提供する、外国為替取引の「押さえるべきポイント」や「ヒント」が満載の「外国為替取引のお役立ち情報」は、無料でダウンロード可能なため、ぜひご活用ください。外国送金に必要なコードや取引規制など外国為替取引に関するポイントを押さえ、様々なリスクに注意を払うようにしましょう。

また、三井住友銀行が提供する「Global e-Tradeサービス」は、三井住友銀行の法人口座を入出金口座としたインターネット版外国為替サービスです。「Global e-Tradeサービス<デビュー>タイプ」であれば、初期費用や月額費用が無料で「被仕向送金(外国からの送金の入金)」「仕向送金(外国への送金)」などがいつでも利用できます。外国送金手数料も三井住友銀行窓口での手続きに比べて半額以下で利用可能です。
新たに輸出入や海外進出を検討されている方など、外国為替業務を効率化したい方はぜひ「Global e-Trade サービス<デビュー>タイプ」をご利用ください。

(※)2023年2月17日時点の情報のため、最新の情報ではない可能性があります。

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