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公開日:2023.08.08

ブランディングとは何をすること?意味や目的、向上させる方法を解説

ブランディングとは何をすること?意味や目的、向上させる方法を解説

市場の飽和とともに商品やサービスのコモディティ化が進み、機能や性能だけで他社と差別化を図るのが難しい時代となっています。インターネットの普及で情報にアクセスしやすくなった現代では、消費者の比較検討の選択肢も大きく広がっており、自社の商品が選択肢の一つとなることも容易ではありません。
拮抗する商品群の中で自社の商品を選んでもらうには、これまでとは異なる施策が必要です。

本記事では、強力な施策として注目されるブランディングについて詳しく解説。ブランディングの概要からブランディングを行うメリット、具体的なステップ、ブランディング向上のポイントまで、わかりやすく紹介します。

ブランディングとは、ブランドの価値を高めるための施策のこと

ブランディングは、ブランドの価値を高め、顧客や取引先と社会全体に、自社と自社の商品やサービスを「独自のもの」として認識してもらい、他社と差別化を図る取組です。
ターゲットが自社独自の商品を魅力的であると感じてくれるように、消費者や顧客に対して企業イメージや自分たちが伝えたいメッセージを訴求していくことも大切になります。

そもそもブランドという言葉は、どのような意味を持つのでしょうか。ここではまず、ブランドの意味とブランドを形成する要素について確認していきます。

ブランドの意味

特定の商品やサービスについて、「時間やお金をかけてでも手に入れたいと思う価値がある」と消費者や顧客に識別されている場合、その商品やサービスは「ブランド」であるといえます。ブランドとは、メディアが伝える情報や口コミによって商品やサービスに意味が生まれ、その結果としてユーザーの中で作り上げられるイメージともいえるでしょう。
ブランドは、ロゴマークや名称、商品デザインなどが、ほかと識別された象徴として認識され、企業や商品、サービスとセットで消費者に想起されます。

ブランドを形成する要素

ブランドは、さまざまな要素から形成されています。ブランドの代表的な要素は、下記のとおりです。

・ブランド名

ブランド名は、ブランドへの思いなどを込めてつけられた名前です。文字どおり、ブランドを象徴する言葉となります。

・ブランドカラー

ブランドカラーは、当該ブランドを想起させる要素です。ブランドの持つ世界観やメッセージを感じさせる色や配色がよく選ばれます。

・ブランドロゴ

ブランドロゴは、自社や自社の製品、サービスのイメージ、特徴を一目で伝える象徴です。顧客の興味を引くデザインが求められます。

・ミッション

ミッションは、そのブランドが何を目的として存在しているのかを明文化したものです。自社の価値観や方針をしっかりと示す必要があります。

・国

国もブランドとなりえます。製品の開発国などから想起させる信頼感、安心感などはブランドです。

・特徴

特徴とは、競合他社とは異なる強みや独自性のことです。特徴がなければブランドの確立は難しいかもしれません。

・広報キャラクター

広報キャラクターは、ウェブサイトや商品パッケージなどに登場して宣伝を担当するキャラクターです。企業イメージを牽引する重要な役割を持っています。

・パッケージデザイン

商品を梱包する特徴的なパッケージデザインも、ブランドを形成する要素のひとつです。

ブランディングの分類

ブランディングは、大きく3つに分類できます。それぞれどのような手法なのか見ていきましょう。

インナーブランディング

インナーブランディングは、社内向けに行われるブランディングです。自社ブランドのメッセージや価値、企業の方針などを社内に浸透させる役割を持ちます。
媒体としては社内報、社内イベント、SNSなどが使われることが多いです。

商品・事業ブランディング

商品・事業ブランディングとは、商品や事業の成長につながるブランディングです。ウェブサイトやSNSといったオンライン媒体、セミナーやイベントなどのオフライン媒体を活用して自社ブランドの魅力を伝え、成長を促進します。

採用・育成ブランディング

採用・育成ブランディングは、他社にはない自社の強みや方向性、考え方、理念などを求職者に伝え、自社を選んでもらえるよう働きかける役割があります。使用される媒体は、採用サイトやSNSなどが多い傾向にあります。

ブランディングがマーケティングやプロモーションと異なる点

ブランディングと混同しやすい言葉に、マーケティングやプロモーションがあります。それぞれどのような違いがあるのか解説します。

ブランディングとマーケティングの違い

ブランディングは、商品やサービス、企業の価値を認識してもらい、他社とは違う独自の存在を確立することです。それに対してマーケティングは、商品やサービスを販売につなげる仕組みのことです。ブランディングができていると、ターゲットを絞った効果的なマーケティングができるようになります。
ブランディングとマーケティングは、いずれも競合優位性を高めて購買につなげるための活動であり、お互いに深く関係しています。

ブランディングとプロモーションの違い

プロモーションは、販売を促進するための一連の活動のことです。自社の商品やサービスを認知させ、潜在顧客の顕在化を目指します。
最終的に販売につなげるという意味ではブランディングやマーケティングとも目的は共通しており、ブランディングができているとプロモーションもしやすくなります。

ブランディングを行うメリット

ブランディングを行って、自社のブランドを確立するメリットは数多くあります。ここでは、ブランディングの代表的なメリットを紹介します。

ブランディングを行うメリット

価格競争に陥らない

ブランディングによって差別化できていない商品は、競合との区別がつきにくく、顧客は購入の意思決定をする判断材料が足りない状況になっています。そのような状況下にある商品はコモディティ化し、価格競争でしか他社との違いを打ち出せなくなってしまうでしょう。
一方、ブランディングができている商品は、顧客に「この会社の商品は信頼できるから買う」「このブランドはかっこいいから欲しい」といった購買意欲につなげることができます。

ロイヤルユーザーを獲得できる

ブランドのファンとなった顧客はロイヤルユーザーになり、リピート購入やアップセル、クロスセルなどで売上に貢献します。
ロイヤルユーザー自身の購買単価も一般顧客に比べて高い傾向があるため、ロイヤルユーザーを多く作ることができれば売上の拡大につながります。

広告宣伝コストが抑えられる

ロイヤルユーザーの例でもわかるように、ブランドに思い入れを持った既存顧客の貢献度は、非常に高いものとなります。既存顧客は、口コミを拡散することで新規顧客を呼んでくれることもあり、その結果として広告宣伝費の抑制にもつながります。

ブランディングの具体的なステップ

ここからは、ブランディングの手順を確認していきましょう。ブランディングの具体的なステップを、大きく8つに分けて紹介します。

ブランディングの具体的なステップ

1. 自社の現状を客観的に把握する

まずは、自社が今どのような状態にあるか、客観的に把握する必要があります。フレームワークを使って、自社と他社の違い、自社の強みを見つけ出しましょう。
代表的なフレームワークには下記の4つがありますので、自社に合ったものを活用してください。

・3C分析

3C分析は、「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の3つの頭文字で構成されたフレームワークです。市場環境や顧客分析で「市場・顧客」を把握し、競合の数や参入障壁、他社戦略などの「競合」を踏まえた上で、「自社」の戦略を考えます。

・PEST分析

PEST分析とは、「Politics(政治)」「Economics(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の4つの切り口から、自社を取り巻く外部環境を読み解く分析手法です。
自社に影響を与える脅威を見極め、社会の変化なども予測することで、ブランディングに役立ちます。

・5フォース分析

5フォース分析は、業界の競争状況を把握するのに役立つフレームワークです。「競合他社との関係」「新規参入の脅威」「売り手の交渉力」「買い手の交渉力」「代替品の脅威」の5つの要因を分析することで、新ブランドの立ち上げなどに役立ちます。

・SWOT分析

SWOT分析は、自社の「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」から内部環境と外部環境を分析し、自社がとるべき対応を決定します。SWOT分析は、ブランディングの骨格づくりに役立ちます。

2. 組織内でブランディングの必要性を共有する

続いては、ブランディングの必要性を全社で共有しましょう。ブランディングの目的や意味を全員が理解することで、施策にブレがなくなります。

3. ブランドコンセプトを決める

ブランドコンセプトは、ブランドの価値をターゲットに伝わりやすい言葉で言語化したものです。伝えたい価値や強みが伝わる言葉を探します。

4. ブランドアイデンティティを設定する

ブランドアイデンティティは、ブランドに対して抱いてほしいイメージを明らかにして言語化したものであり、「ブランドらしさ」を示す核です。ブランドアイデンティティを使って顧客に働きかければ、特定のブランドイメージが直感的に想起されやすくなります。

5. ブランド価値を設定する

ブランド価値には、「顧客価値」「資産価値」「社内価値」の3種類があります。

<3種類のブランド価値>

  • ・顧客価値:顧客の視点で考える価値
  • ・資産価値:現時点における財務的な価値
  • ・社内価値:社内における事業戦略や将来戦略に貢献する価値

ブランドの成長には、この3つの価値をバランス良く高めることが欠かせません。3つの視点を常に忘れず、ブランドの価値を設定します。

6. ブランド名やロゴを作成する

最終段階では、ブランドに込めたイメージや価値、想いが伝わりやすく、印象に残るブランド名やロゴを作成します。どちらも他社とよく似た名前、よく似たデザインがないことを確認します。
なお、ブランドロゴはサイズを縮小して使用されることも考慮し、細かすぎないデザインにすることをおすすめします。

7. ブランディングのタッチポイントを決定する

タッチポイントとは、ターゲットとブランドの接点です。例としては、ウェブサイトやSNS、新聞、雑誌などが挙げられます。ターゲット層がよく使っている媒体を調べて、効果的なタッチポイントを決めることが必要です。

8. ブランド認知度の効果測定をする

ブランディングをして一定期間が経過したら、ブランドがどの程度認知されているかを検証しましょう。その際、ターゲットの認識と、自分たちの思いがずれていないか、誤ったメッセージが伝わっていないかといったことも確認する必要があります。

ブランディング向上のポイント

続いては、ブランディングに取り組む中で、意識してほしいポイントを紹介します。ブランディング向上の主なポイントは、下記の3つです。

ユーザー目線に立った自社の強みを活かす

自社の商品に誇りを持つことは大切ですが、こだわりが強すぎるとユーザー目線を忘れてしまう可能性があります。ブランディングの目的は、購買する人に認知してもらい、購買につなげることです。常にユーザー目線に立ち戻り、ユーザーの視点から自社に求められているものを考えることが大切です。

ブランドコンセプトをはっきりと打ち出す

ブランドコンセプトは、はっきりと打ち出すことが重要です。ブランディングのあらゆるシーンで、齟齬のないメッセージをターゲットに向けて打ち出せているかを確認します。
ブランドメッセージが打ち出せていれば、ターゲットに「技術力の会社」「自然に優しいエコな商品」といったブランドの魅力がしっかり伝わります。

企業規模を考慮したブランディングを行う

ブランディング施策は、自社の規模と予算に合った範囲で行ってください。大企業のインナーブランディングならマス広告などを活用して一気に浸透させることも可能です。
一方、小規模の企業が市場に向けて行うブランディングの場合、ターゲットを極力まで絞ってブランド認知を継続するなど、それぞれ自社に合ったブランディング手法を選定することが大切です。

ウェブマーケティングにおけるブランディング

ウェブマーケティングでも、ブランディングを意識した施策を実行することができます。
ウェブサイトやブログを通じたコンテンツマーケティング、SNS、広告、アフィリエイトといった顧客とのタッチポイントで、「ブランドイメージの向上につながるか」「ブランドイメージを損なうことがないか」を常に意識した上でブランディング施策を実行し、ブランド力を醸成しることが大切です。

ブランディングを視野に入れたウェブマーケティングは、マーケティング効果を高めつつブランドイメージを広く浸透させていくことができる点が強みとなります。

ブランディングは、さまざまなツールを上手に活用して成功させましょう

ブランディングが成功すると費用対効果が高まり、ビジネスを有利に進めることができるようになります。しかし、ブランディングの取り組みは長期的であり、すぐに成果が出るものではないため、悩みや課題を抱いている方も多いのではないでしょうか。

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