START
やりくり上手の母がお手本。無駄遣いをせず、収入の一定額を先取り貯蓄

やりくり上手の母がお手本。無駄遣いをせず、収入の一定額を先取り貯蓄

――Tさんはすでに3,500万円もの金融資産を築いているとのことですが、以前からお金への意識が高かったのですか?

  • Tさん

    「両親が自営業をしていて、やりくり上手の母が散財しがちな父を支える姿を見て育ちました。自然と母を見習うようになり、無駄遣いをしない習慣が身に付いたような気がします。お年玉も銀行に預けていたくらいです」

  • 高山先生

    「素晴らしいですね。無駄遣いをしないために、どんな工夫をしてきましたか?」

  • Tさん

    銀行口座を二つ持って、ためる口座と使う口座に分けています。収入の一定額をためる口座に預けて、使わないようにしています」

  • 高山先生

    「欲しいものがあった時は、どうされていますか?」

  • Tさん

    長期的に見て、本当に必要なものか、まずは考えてから買うようにしています」

  • 高山先生

    「買い物をする時に長期的な視点で考える習慣があると、衝動買いを防ぐこともできるので、とても良い方法ですね」

  • Tさん

    「ありがとうございます。ただ、銀行口座の残高は増えていくものの、利息がほとんどつかないのがずっと気になっていて……。投資に興味はあったのですが、怖くてなかなか踏み出せずにいました」

  • 高山先生のワンポイントアドバイス

    ▼高山先生のワンポイントアドバイス

    • Tさんが実践している「収入が入ったら、先に一定額を貯蓄する」という「先取り貯蓄」の習慣は、まさにお金がたまる人に共通した習慣です。
    • どうしても欲しいものがある場合は、Tさんのように長期的な目線で見て、必要なものか判断しましょう。お金に対する自分なりの価値基準をもつことで、無駄遣いや衝動買いを防ぐことができます。

▼見る。考える。資産運用
低金利が続く日本では預金でお金が増やせない

HAPPENING
投資経験がある母や友人に影響を受けて、まずは株式投資からスタート

投資経験がある母や友人に影響を受けて、まずは株式投資からスタート

――そんなTさんが投資を始めたきっかけは?

  • Tさん

    「母が日本株や投資信託を購入していたので、もともと投資への興味は高いほうだったと思います。大学を卒業してしばらく経ったころ、親しい友人が株式投資を始めたのもあって、自分も投資してみようと思いました」

  • 高山先生

    「最初に購入した商品は?」

  • Tさん

    「日本株です」

  • 高山先生

    「株式は値が大きく動きますが、それは怖くなかったですか?」

  • Tさん

    「始める前は怖かったのですが、いざ始めたら値動きを追いかけるのが面白くて、しばらくの間、株式投資にはまっていました。でもハイリスクだし、安定して増やすのには向いていないことに気づいて……

  • 高山先生

    「それで、積立投資に興味を持つようになったんですね」

  • Tさん

    「そうなんです。両親のお店で働いている方からiDeCoを教えてもらって、今年の8月に積み立てを開始しました。株式投資と比べると、積立投資は値動きが穏やかなので安心して運用できますね

  • 高山先生のワンポイントアドバイス

    ▼高山先生のワンポイントアドバイス

    • Tさんのように周囲に投資経験のある方がいると、自然と投資関連の情報が入り、前向きに投資をするようになります。投資経験がある知り合いがいらっしゃらない方は、書籍やインターネットなどで必要な情報を調べることからはじめてみましょう。
    • iDeCoは私的年金制度の一つで、毎月、掛け金を主に投資信託で運用します。税制優遇の恩恵を受けながら、長期、積立、分散投資をしながら将来の自分年金を作っていく制度です。法改正により、2022年5月から加入可能な年齢が65歳未満まで引き上げられています。今後も、加入条件などが拡充される可能性があるので、こまめにチェックすることをおすすめします。

▼iDeCoについてもっとくわしく!
個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」:三井住友銀行 (smbc.co.jp)

法改正で変わるiDeCo(イデコ)! 2022年から何がどう変わる?

TURNING
積立投資は全世界株式インデックスファンド一択! 投資の割合を増やしても大丈夫?

積立投資は全世界株式インデックスファンド一択! 投資の割合を増やしても大丈夫?

――iDeCoのポートフォリオを教えてください。

  • Tさん

    「全世界株のインデックスファンドを毎月13,000円積み立てています」

TさんのつみたてiDeCoポートフォリオ
  • 高山先生

    「王道の商品選択ですね。なぜ全世界株のインデックスファンドを選んだのですか?」

  • Tさん

    「著名投資家の著書に『全米株か全世界株のインデックスファンドがおすすめ』と書いてあったのを参考に選びました」

  • 高山先生

    「全米株への投資も魅力がありますが、リスクを低くするという観点から考えると、全世界株のほうが世界の株式に分散投資できるので、良い選択だと思います。ただし、構成比率はアメリカ株が最も高く、6割程度を占めているので注意してくださいね

――投資信託は、何を購入されましたか?

  • Tさん

    「こちらも全世界株式のインデックスファンドを購入しました。もともとは、母が私のために購入したアメリカ株のアクティブファンドを受け継いだのがきっかけです」

Tさんの毎月の収入・支出
Tさんのその他の金融資産
  • Tさん

    「実は高山先生にお聞きしたいことがあって。今、預貯金が2,000万円くらいあるのですが、預貯金と投資金額の割合はどうでしょうか?」

  • 高山先生

    まず預貯金は、生活費の半年から1年分を確保しましょう。また、3〜5年以内に出費の予定がある場合は、その分もストック。それ以外は、投資に充てても問題ないですよ」

  • Tさん

    「じゃあ、もう少し投資の割合を増やしても良いんですね! 日本株と投資信託のバランスはどうでしょうか……?」

  • 高山先生

    コアサテライト戦略と言って、長期で安定的に運用できる商品を『コア』として7〜9割程度、ハイリスクハイリターンの商品を『サテライト』として1〜3割程度運用する方法が、Tさんには合っているのではないかと思います。この方法なら、コアの部分で資産のベースをつくりながら、サテライト枠で大きく増やすことも可能になります。良かったら、日本株と投資信託のバランスを考える際に参考にしてくださいね」

  • Tさん

    「なるほど。すごく勉強になります。」

  • 高山先生のワンポイントアドバイス

    ▼高山先生のワンポイントアドバイス

    • コアサテライト戦略は、コアで資産のベースをつくり、サテライトで攻めの投資をして、市場平均以上のリターンを得ることを狙った戦略です。サテライト枠の割合を大きくすると、その分、リスクが高まるので注意しましょう。
    • 投資信託と似た商品に、ETFがあります。株式市場に上場している投資信託のことで、株式同様、リアルタイムで値動きを見ながら購入することができます。ETFのほとんどは、インデックス型なので、個別株を選ぶのが難しいという方はETFを検討してみましょう。

▼5分で診断&アドバイスがもらえる!
ミライのお金が、「みえる」「わかる」オーダーメードのマネープランニング

FUTURE
積立投資で増やしたお金が、今後の人生を豊かにしてくれる

積立投資で増やしたお金が、今後の人生を豊かにしてくれる

――すでに大きな資産を築いているTさんですが、今後の目標はありますか?

  • Tさん

    「母が私のために資産を築いてくれたように、私も結婚して子どもができたら、子どものために資産を残したいと思っています

  • 高山先生

    「素敵な目標ですね」

  • Tさん

    「ただ、最近は物価が高騰しているし、老後2,000万円問題もあって、先行きに不安を感じています」

  • 高山先生

    「Tさんはすでに『ためる体質』ができているので、今の状態を続けていくだけで十分に資産を増やしていくことができると思いますよ。むしろ、もう少し自分のために使ってほしいぐらいです!」

  • Tさん

    「ありがとうございます。今まで節約を心掛けてきましたが、せっかくの人生だし、一度くらいは値段を見ずに好きなものを買ってみたいし、コロナが落ち着いたら旅行にも行きたいと思っています。積立投資で増やしたお金が、きっと私の人生を豊かにしてくれると信じています」

  • 高山先生のワンポイントアドバイス

    ▼高山先生のワンポイントアドバイス

    • 積立投資には、「リスクを低くしながら安定的に資産を形成できる」というメリットがあります。TさんはiDeCoで積み立てをされていますが、つみたてNISAもおすすめです。年間40万円まで積み立てることができ、運用益が最長20年間非課税になるなどの優遇措置があります。

▼iDeCo関連記事はこちら
iDeCo(イデコ)って何? 〜基本の運用方法をイラストで理解しよう〜

▼ポートフォリオで悩んだときは
iDeCo、NISA、つみたてNISA、どれが得? 併用できる? 違いは?

高山先生のSUMMARY
ためる習慣を築くことが、資産を増やすための第一歩

子どものころからお年玉をコツコツ貯蓄にまわすなど、「ためる体質」が身に付いているTさんは、大人になってからも節約を心掛け、29歳にして大きな資産を築いています。当初は投資に対して「怖い」と感じていたようですが、お母さまや友人など、周囲に投資経験が豊富なお知り合いがいたことが、前向きに投資を始める良いきっかけになったのだそう。

Tさんの収入は20代後半にしては多いほうですが、今も無駄遣いをせず、「ポイントで洋服を買う」などの日々の工夫をされて今の資産に繋がっています。こうした節約で支出を減らしているからこそ、運用できるお金を大きく増やすことができているのです。

「生活するだけで精いっぱいで、投資に回せるお金がない」と悩んでいる方もいらっしゃると思いますが、日々のちょっとした出費を見直すことで、投資の資金をつくることができます。ぜひ、一度、自分が何にお金を使っているのか、家計簿アプリなどを使って見える化してみましょう

早い段階で株式投資をはじめたTさんは、「今後は安定的に資産を増やせる『積立投資』をメインにしたい」と考えているそうです。ぜひこの記事を読んでくださっているみなさんにも、Tさんのように日々のちょっとした工夫をして、資産を築いていってほしいですね。

  • 2022年12月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。
高山 一恵(たかやま かずえ)

高山 一恵(たかやま かずえ)

ファイナンシャルプランナー(CFP)、一級FP技能士。株式会社Money&You取締役。

全国での講演活動、執筆、マネー相談を通じて、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。女性向けWEBメディア『FP Cafe®』や『Mocha』も運営。また、『Money&You TV』や「マネラジ。」「Voicy」などでも情報を発信している。 主な書籍には、「はじめてのNISA &iDeCo」(成美堂出版)「1日1分読むだけで身につく お金大全100」(自由国民社)」「はじめのお金の基本」(成美堂出版)「マンガと図解 はじめてのFIRE」(宝島社)などがある。

Money&You:https://moneyandyou.jp/

企業型イデコ知らないと損? DC+iDeCo確定拠出年金制度が2022年10月に改正されました!

シリーズの記事一覧を見る

関連記事

iDeCo,シングル,リスクを抑える,人生100年時代,個人事業主・自営業,投資信託