日本パーカライジング株式会社

  • 代表者
  • 里見 多一
  • 設立
  • 1928年7月12日
  • 所在地
  • 本社:〒103-0027 東京都中央区日本橋1–15-1
  • 従業員数
  • 943名(2023年8月時点)
  • 事業内容
  • 化学工業製品製造業

日本パーカライジング株式会社は、金属を化学的損耗である腐食、機械的損耗である摩耗から守ることを目的とした表面処理剤、表面改質技術を提供することを専業とした化学メーカーです。高度な技術と経験を基に開発された付加価値の高い製品および技術は、国内はもとより米国・中国・韓国・台湾・タイなどをはじめとする国々と地域において、工業用途から家庭用途まで幅広く使用されています。そこに表面がある限り、人々の暮らしや社会を支え続けていきます。

CO2排出量削減はもはや事業継続のために不可欠

私たちは2021年に、2030年までにCO2排出量を30%削減、2050年までにカーボンニュートラルを達成するという目標を設定しました。その一番の理由は、当社の事業そのものの継続のためです。
と言うのも、私たちのお客さまであるメーカーは、自社のみならず、サプライチェーン全体のCO2排出量を削減していく必要に迫られています。そのため、ここ数年で排出量削減の取組に関してお客さまより、多くお問い合わせを頂くようになりました。お客さまに引き続き当社を選んでいただき、事業を継続していくためにも、私たちにとってCO2排出量削減は避けて通れない課題なのです。
当社ではこれまでにも省エネ法(前年比で年1%消費エネルギー量を削減することが定められている)に対応するための施策は行っていました。たとえば、施工処理数が減った際に工場のラインを集約したり、機器をエネルギー効率の良い最新のものに交換したりする等です。
また、省庁への報告のため、消費電力量や燃料量等も毎月Excelに入力し、管理していました。
しかし、CO2排出量については年度末に一括で算定していたため、毎月の排出量のモニタリングは全くできていない状況でした。排出量削減の取組を具体的に推進するためには、まずはリアルタイムで拠点ごとの排出量を把握する必要があります。そこで、CO2排出量可視化ツールの導入を検討し始めたのです。

Sustanaの魅力はID数の多さ

導入に際しては、いくつかのツールを比較検討しました。Sustanaを選ぶ決め手となったのは、ID数の多さです。当社は製造拠点や営業拠点を合わせると40ヵ所以上、関連会社も含めると90ヵ所以上にのぼります。これらすべてにIDを付与するとなると、他社のツールでは利用料が高額になる一方、Sustanaであれば基本料金内ですべてカバーできる点が魅力的でした。
また、フォーマットを自社に合わせて柔軟に活用できる点も大きな理由のひとつです。具体的には、当社では、CO2排出量に限らず、PRTR制度の対象物質(排出量・移動量を把握し、省庁に報告する義務がある化学物質)や水質の分析結果等、さまざまなデータを一括で管理しています。こうしたやり方についても、三井住友銀行の担当の方がレクチャーしてくださいました。
導入後は、全拠点にIDを付与し、それぞれが従来Excelで管理していた電力や燃料の使用量等のデータを、Sustanaに入力してもらうようにしました。こうして、全拠点の排出量をサステナビリティー経営推進グループがリアルタイムで把握できるようになりました。
すると、工場により電力・燃料使用量に特色があることが明らかになりました。その理由を探っていくと、「この工場ならこういった方法で削減できそうだ」といった具体的な道筋が見えてくるように。やはり、見える化が具体策を見つけるためのキーだったのだなと感じました。
また、こうして見える化されたCO2排出量データを社内の電子掲示板で共有することも始めました。少しずつ、社員一人ひとりに当事者意識が生まれてきていることを実感しています。
もうひとつ導入して得られたメリットとして、業務効率の改善があります。Excelでの管理時と比較して入力ミスがすぐに分かるようになったほか、集計ミスもなくなりました。また、部署間共有も容易になったため、横断的に削減施策の検討ができるようになった点も大きいです。

削減施策のレコメンドも

今後は、国内関係会社、海外関係会社にもIDを付与し、グループ全体のCO2排出量を把握し、削減を進めていきたいと考えています。
また、Sustanaの画面では、入力したデータに基づいて削減施策のレコメンドが見られるようになっています。すぐに取組やすいLED照明への交換から、EMS(エネルギーマネジメントシステム)や太陽光パネルの導入等、さまざまです。弊社は過去数年分のデータも入力しているため、レコメンドもより精緻になっているようです。こうしたことも参考にしながら、排出量削減を進めていきたいですね。

サプライチェーン全体で協力していくために

当社は、鋼板や自動車のボディ、電化製品や自動車の構成部品等、さまざまな金属製品の表面を改質することで、腐食や摩耗から守り、滑りやすくする/滑りにくくする等といった機能を持たせることを主な事業としています。金属の寿命を延ばしたり、エネルギー効率を上げたりするといった価値を提供しているため、事業内容自体が環境に貢献していると言えます。
しかし、それだけではCO2排出量削減の取組が十分であるとは言えないことを、この数年で実感しています。脱炭素は自社だけでは不可能で、当社製品やサービスによるお客さまの製造工程でのCO2排出量削減への貢献や購入先へ要請等サプライチェーン全体で取り組んでいかなければ実現できません。そういった意味では、例外なくすべての企業がCO2排出量削減に取り組まなければならない時代に、既に突入していると言えるでしょう。
当初は何から始めてよいか分からなかった私たちも、CO2排出量の見える化をすることで、スタートラインに立ち、具体策をイメージできるようになりました。同じような問題意識を抱えていらっしゃる企業の皆さんも、ぜひ見える化から始めていただき、各社の取組で日本の脱炭素の動きをより活発にしていけたらと思います。

審査員コメント

審査委員画像
  • 磯和 啓雄
  • 三井住友フィナンシャルグループ
  • 執行役専務 グループチーフ・デジタル・イノベーション・オフィサー

日本パーカライジングさまは、Sustanaを導入することで、従前Excelに手入力して管理していたさまざまなデータを、一括管理することに成功しました。Sustanaには利用開始前も含めた過去数年分の活動量データを入力いただいています。さらに登録ユーザー数も多く、現在は40ヵ所以上の製造・営業拠点や関連会社の担当者に活用いただいていることや、Sustanaで管理したデータを用いて第三者検証にも対応予定である等、さまざまな場面でSustanaを社内のDXに積極的にご活用いただいていることから、今回「Connect Internal賞」に選定させていただきました。

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  • 山田 幸美
  • 株式会社日本総合研究所
  • リサーチ・コンサルティング部門 環境・エネルギー・資源戦略グループ マネジャー

日本パーカライジングさまは、以前より省エネ法対応としてExcelを用いてエネルギー使用量を把握、CO2排出量は年度終了後に別に算定されていました。Sustana導入により、エネルギー使用量の集計ミスの防止やデータの一元管理、CO2排出量を適宜モニタリングすることが可能となったほか、社内関係部署と情報の共有化を実現されています。これにより、CO2排出量の削減活動を横断的に推進する体制が整いました。今後は、国内外グループ会社とデータ連携を進める予定であり、「Connect Internal賞」にふさわしいお取組であると考え、選定させていただきました。

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  • 茂木 龍哉
  • 株式会社日本能率協会コンサルティング
  • SX事業本部 本部長 シニア・コンサルタント

化学品製造業におけるCO2排出量算定の課題として、原材料の複雑性や反応プロセス、処理工程の多様性による正確なデーター収集の難しさが挙げられます。そのような環境の中で、日本パーカライジングさまの取組は、登録活動データ総数の多さからも分かるように、社内関係部署を巻き込んだ全社的な活動になっており、データの一元管理、部署間の情報共有の容易性向上等Sustanaの機能を上手に活用しておられます。
今後想定される課題としては、調達先や製造工程の変動、そして技術進化にともなう原材料構成の変動等、変化に対応する方法の確立が挙げられます。そのような面においても、Sustanaの機能を更に活用いただき、継続的な活用を期待しています。