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経理
公開日:2024.02.07
キャッシュフロー改善とは?改善の方法やキャッシュフロー経営を解説

事業を健全な状態で運営していくには、キャッシュフローの改善が欠かせません。
今回は、事業活動とキャッシュフローの関係や、キャッシュフローを改善するための具体的な方法について解説します。キャッシュフローを改善した企業の事例も紹介していますので、是非参考にしてください。
キャッシュフローとは、事業活動における現金の動きを表すもの
キャッシュフローとは、事業活動における様々な現金の動きの総称です。キャッシュフローは事業活動における重要な指標であり、著しく滞ることにより支払不能状態に陥ることもあり得ます。
キャッシュフローが適切に管理されていない場合、手元に十分なキャッシュがなくなり、黒字倒産となるケースもあるのです。会計上の損益とキャッシュフローを明確に区別して、事業を運営していく必要があります。
事業活動とキャッシュフローの関係
事業活動とキャッシュフローには、どのような関係があるのでしょうか。キャッシュフローを考える上で重要な概念である「売掛債権回収サイト」と「買掛債務支払サイト」について解説します。

売掛債権回収サイト:売掛債権が発生した時点から代金回収までの期間
売掛債権回収サイトとは、商品などの売掛債権が発生した時点から代金回収までの期間のことを指します。一般的に企業間取引の多くは掛取引であり、商品を販売して売上が発生するタイミングと、実際に代金が入金されるタイミングが異なる点に注意が必要です。売掛債権回収サイトが長いほど資金繰りが厳しくなり、反対にサイトが短いほど資金繰りが容易になります。
買掛債務支払サイト:買掛債務が発生した時点から代金を支払うまでの期間
買掛債務支払サイトとは、商品などの買掛債務が発生した時点から代金を支払うまでの期間のことです。例えば、商品を製造するために必要な原材料を仕入れ、その代金を支払うまでの期間などが買掛債務支払サイトに相当します。買掛債務支払サイトが短いほど資金繰りが厳しくなり、反対にサイトが長いほど資金繰りが容易になると捉えてください。
キャッシュフローが悪化する要因
キャッシュフローの悪化には、いくつかの要因が考えられます。主な要因として想定されるのは、「キャッシュ・インの減少」「キャッシュ・アウトの増加」「売掛債権の貸倒れ」の3点です。
キャッシュ・インの減少
企業に現金が入ってくることをキャッシュ・インと言い、その減少は、キャッシュフロー悪化の直接的な原因となり得ます。キャッシュ・イン減少の主な要因は、売上の減少や売掛債権の未回収などです。
例えば、売上自体が減少していれば、現金が入ってくる見込がなくなってしまいます。売掛債権を回収できなかった場合、その売上は現金収入につながらないことになり、結果としてキャッシュ・インの減少を招いてしまうのです。
キャッシュ・アウトの増加
企業から現金が出ていくことをキャッシュ・アウトと言いますが、この増加も、キャッシュフロー悪化を招く要因のひとつです。
例えば、在庫や設備投資・不良資産・買掛債務の支払が過剰であることや、前払金や仮払金の増加、借入の早期返済などがキャッシュ・アウト増加の原因となります。こうした支出が多すぎる場合、例え十分な利益を確保していたとしてもキャッシュフローが悪化しかねません。
売掛債権の貸倒れ
取引先の経営状態が悪化し、支払が滞ることにより売掛債権の貸倒れが生じることもキャッシュフロー悪化につながります。本来であれば入ってくる予定の現金が入ってこないことにより、資金繰りに悪影響を及ぼしてしまうからです。売掛債権の貸倒れを防ぐには、取引先の信用調査や与信管理を適切に行う必要があります。
キャッシュフロー経営の推進
キャッシュフローを改善するには、キャッシュフロー経営の推進が効果的です。キャッシュフロー経営とは、損益ではなく実際の現金の動きを把握して事業を進めることを指します。
キャッシュフロー経営と一般的な経営手法との違いや、キャッシュフロー経営を推進する効果について見ていきましょう。
キャッシュフロー経営と一般的な経営手法との違い
一般的な経営手法においては、損益計算書を基準に現状の経営状態を判断します。売掛金が発生した時点で成果が出たことになるため、黒字であっても実際には資金がショートしているといった事態が見えにくいのが難点です。
キャッシュフロー経営の場合、現金を回収した時点で成果が出たものと判断します。実際の現金の動きに着目することにより、資金ショートを招くリスクを抑えられるのです。
キャッシュフロー経営推進による効果
キャッシュフロー経営を推進することにより、中長期にわたる安定的な経営を実現しやすくなります。手元に資金が残っている状態で経営を維持できるようになれば、対外的な信用力も高まるでしょう。
また、手元の資金が潤沢になることで、新規事業への投資や研究開発も実現しやすくなります。従業員の就業環境の改善に向けた投資や、給与水準の向上のために資金を使うこともできるなど、様々な改善効果が期待できるのです。
キャッシュフローを改善するためのポイント
キャッシュフローを改善するには、どのような点を意識する必要があるのでしょうか。続いては、キャッシュフローを改善するためのポイントを3つご紹介します。

売掛債権を減らす
売掛金や受取手形といった売掛債権を極力減らしていくことが重要です。売掛債権回収サイトを可能な限り短くすることにより、入金までの期間を短縮することができ、売掛債権を減らすことにつなげることが可能です。
また、与信管理を適切に行い、取引先ごとに取引限度額を設定しておくことで、売掛債権の圧縮を図ることも有効です。
確実に利益を出す
キャッシュフロー改善に向けて重視しておきたいポイントに、確実に利益を出すこともあります。売上を増やすだけでなく、売上を作るために必要な費用を抑え、粗利益を向上させる必要があります。取引ごとに粗利益を試算し、着実に利益を出せる取引をしていくと良いでしょう。
債権回収を徹底的に管理する
売掛債権の回収を徹底することも重要なポイントです。取引が成立し、売上が立った時点で安心してしまうのではなく、請求と入金の状況を常に注視し、入金された取引は消込を行うよう徹底する必要があります。支払期限を超過した取引に関しては、早急に支払の催促や督促を行いましょう。
回収期限から時間が経つほど回収不能な状況に陥りやすいため、支払期限を超過した取引を放置しないことが大切です。
キャッシュフローを改善する具体的な方法
キャッシュフローの改善に向けて取り組んでおきたいことについて、具体的に解説します。次に挙げる取組を、キャッシュフローの着実な改善に向けて参考にしてください。
資金繰り表を作成して現金の流れを把握する
資金繰り表の作成と運用は、キャッシュフロー改善に向けた取組の基本です。資金繰り表とは、現金の収入と支出を期間ごとにまとめた表のことを指します。会計上の損益ではなく資金繰り表を参照することにより、キャッシュフローの実態を把握しやすくなるのです。
資金繰り表を作成するには、貸借対照表などの財務諸表をもとにまとめるか、会計ソフトを活用することもできます。資金繰り表を活用して現金の流れを可視化し、手元の現金の過不足を明確にしましょう。
キャッシュ・インとキャッシュ・アウトの交渉をする
キャッシュ・インとキャッシュ・アウトの交渉を通じて、収支の改善を図ることも有効な対策です。売掛債権回収サイトを可能な限り短縮してもらったり、反対に買掛債務支払サイトをできるだけ長く設定してもらったりする交渉が奏功する場合もあります。原材料を仕入れる際には、まとまった数量で取引することによる割引ができないか確認するといいでしょう。このように、収支の改善を図る余地が残っていないか検証しておくことが大切です。
経費を削減する
売上を作るためにかかっている費用の内、節減できるものがないか検討しておくことも重要なポイントです。経費には大きく分けて固定費と変動費がありますが、特に固定費については毎月一定額の支出となることから、節減することができればキャッシュ・アウトの減少に直結します。
ただし、経費削減によって、成果物の品質が低下することのないよう注意してください。例えば、原材料費をより安く調達できる仕入先に変更したことにより、原材料の質が低下するようでは本末転倒です。品質を維持しつつ、抑えられる経費を見極める必要があります。
売掛債権を売却する(ファクタリング)
売掛債権の売却が可能なファクタリングを活用するのもひとつの方法です。ファクタリングとは、入金前の売掛債権を買い取ってもらうサービスを指します。
ファクタリングを活用するメリットは、あくまでも売掛債権の売却のため、負債が発生しないことにあります。また、サービスによっては即日入金が可能な場合もあるため、資金を迅速に確保できるのも大きなメリットです。その反面、ファクタリング事業者に所定の手数料を支払う必要がある点がデメリットとして挙げられます。サービス事業者によって手数料率が異なるため、活用する際には必ず手数料率を確認しておくことが大切です。
売掛金の未回収をできるだけ減らす
売掛金を確実に回収し、未回収を減らしていくことも大切です。請求ごとに支払期限を把握し、支払期限を過ぎた取引については早急に催促や督促を行いましょう。
未回収の状態が長引くと、代金が回収不能な状況に陥るリスクが高まります。売掛金の未回収ができるだけ発生しないよう、適時対応していくことが大切です。
不良在庫や遊休資産は売却する
不良在庫や遊休資産の売却も検討すると良いでしょう。不良在庫や遊休資産を売却した場合、購入時の価格を下回るケースもあるため、トータルで考えると損失となることがありますが、利益につながらない在庫や資産は売却して現金化しておく方がキャッシュフローの改善につながります。
事業用のクレジットカードを活用する
キャッシュ・アウトを遅らせるための方策として、事業用のクレジットカードの活用も検討しましょう。支払方法を現金からクレジットカード決済に切り替えることで、取引先との交渉を行うことなく支払までの猶予を確実に延ばすことが可能です。
キャッシュ・アウトを遅らせるには、クレジットカードの一種であるパーチェシングカードのご利用も役に立ちます。
パーチェシングカード導入を検討しているお客さまは、以下の関連記事もご参考に、SMBCグループが提供する「ビジネスパーチェシングカード」のご利用をご検討ください。
法人カードを活用してキャッシュフローを改善した企業の事例
キャッシュフロー改善に向けた取組として、法人カードの活用は有効な方法のひとつと言えます。実際に法人カードを活用してキャッシュフローを改善した企業の事例を見ていきましょう。
時間外救急往診プラットフォームの開発・運営企業A社:パーチェシングカードの導入でキャッシュフローを改善
医療へのアクセスが困難な時間帯を対象に、24時間体制の外来相談やオンライン診断などを提供でできるプラットフォームを開発・運営するA社では、事業の特性上、提携医療機関が医療報酬を受け取るタイミングでA社から請求を行うため、A社が収入を得るまでのサイトが長くなりやすい点が課題でした。そのため、従来はA社が請求書払いにしていた費用をパーチェシングカードによる決済に切り替えたことで、A社自身の支払サイトを無理なく延ばすことができるようになり、キャッシュフローを改善することができたのです。
広告代理店業のB社:仕入れサイトを伸ばすことで、無借金経営を実現
B社では、広告媒体から広告枠を仕入れて運用し、その後、広告主から請求書払いで代金を受領する業務フローとなっていました。そのため、仕入と受領のキャッシュフローのバランスが取れない月があり、一時的に運転資金の借入を検討する必要がある状況でした。そこで、B社ではパーチェシングカードを導入し、広告枠を仕入れるための支払をパーチェシングカードでの支払にしました。その結果、広告を仕入れるための支払サイトを延ばすことができ、キャッシュフローが改善しました。また、借入の必要性がなくなり、無借金経営を実現できています。
住宅外装建材の販売・施工業C社:法人カード決済の導入で未回収リスクを低減
C社では、現金決済が中心の業界における未回収リスクをいかに防ぐかが課題となっていました。建築業界では支払サイトを長く設定するケースが多く見られ、長い場合には売掛金の回収が1年先になることもあったからです。しかし、法人カードによる決済が可能になったことで、未回収リスクを抑制し、資金繰りの改善ができるようになりました。法人カードの活用がキャッシュフロー改善に寄与した好例と言えるでしょう。
キャッシュフロー改善に役立つサービスの活用を検討しよう
キャッシュフロー改善を意識することは、限られた経営資源の中で事業を継続する企業にとっては重要なポイントと言えます。貸借対照表と損益計算書による決算書のみを重要視するのではなく、常にキャッシュフローを意識し、それに基づく経営判断をしていくことが重要です。
回収は前払、支払は後払が理想とは言え、取引先に対して「支払を遅くしてほしい」と依頼することは簡単ではありません。仕入、広告費、税金などの支払に三井住友カードのビジネスカードを利用すると、取引先に依頼することなく後払に対応できるため、キャッシュフローを改善できます。また、キャッシュバックやポイント還元でのコスト削減も可能です。
SMBCグループが提供する「三井住友カード ビジネスオーナーズ」は法人代表者、個人事業主の方に向けた年会費永年無料のクレジットカードです。カード券面にカード番号の記載が無いナンバーレスカードで安全にご利用いただける上に、ビジネスと個人の用途を分けることで経費の仮払などを無くすことが可能です。
また、パーチェシングカードを導入すればキャッシュフロー改善に加え、本社・拠点経費の支払にご活用いただくことで、複数のサプライヤーなどへの支払を一元管理でき、DXやリモートワークの推進にお役立ていただけます。また、ご利用のクラウド経費精算システムにカードのご利用明細を自動連携することもできるため、精査・承認業務の合理化が実現できるサービスです。経理業務の効率化による経理チームの業務領域拡大も実現するでしょう。
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