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公開日:2022.03.18

ビジネスにおけるシナジーとは?効果やメリット、生み出す方法を解説

ビジネスにおけるシナジーとは?効果やメリット、生み出す方法を解説

ビジネス関連のニュースや会議、プレゼンの場で、「シナジー(Synergy)」という言葉を聞くことがあります。シナジーは、「複数のものがお互いに作用し合い、効果や機能を高めること」という意味で、元は薬学や生理学、生物学分野の専門用語でした。しかし現在では、「シナジー効果を得る」「シナジー効果をもたらす」といった文脈で、ビジネスシーンでもよく使われています。
ここでは、ビジネスシーンで使われるシナジー効果の意味とメリットのほか、シナジー効果を生み出す方法について解説します。

シナジーとは、複数人が協力することで高い効果が生まれること

ビジネスシーンで使われるシナジー効果は、日本語にすれば相乗効果のこと。販売・設備・技術といった機能を活用したり、複数の企業が提携したり、2つ以上の部署が協力したりすることで、それぞれが単独で活動したとき以上の効果が生まれることを指します。

簡単にいえば、1+1が2より高くなるのが「シナジー効果を得られた」状態になります。シナジー効果はWin-Winの関係が前提なので、片方だけに利益があるような場合は、シナジー効果が得られたとはいえません。
シナジー効果を得られた事例としては、家電量販店チェーンを展開する企業とアパレル製造小売業を営む企業とが組むことで集客力や収益性を向上させた例や、M&Aで事業を拡大し、クレジットカード事業やEC事業、モバイル事業などのさまざまなサービスを展開することで、日常生活において必要とされるサービスを複合的にユーザーに利用させるという、ひとつの経済圏を作り上げた企業の例などが挙げられます。

3種類のシナジー効果

ビジネス上のシナジー効果には、大きく分けて下記の3種類があります。それぞれどのようなものか、解説していきます。

・事業シナジー

事業シナジーは、事業の推進に関するものです。売上の増加、コスト削減、スケールメリットの増大、人材の獲得・活用、ノウハウの統合によって付加価値が高まるといったものがあります。

・財務シナジー

財務シナジーは、お金や税金に関するものです。合併などで増加した余剰資金の有効活用が可能になることや、単年度で所得が赤字だった際の繰越欠損金の税控除やグループ法人税制を利用した節税効果などが挙げられます。

・組織シナジー

組織シナジーは、組織に関するものです。互いに協力してアイディアを出し合うことによる生産性の向上や事業部門の集約による業務効率化、高いパフォーマンスを発揮できる環境が整うことによる従業員のモチベーション向上などがあります。

反対語は「アナジー効果」

シナジー効果の反対語はアナジー(Anergy)効果で、こちらはマイナスの相乗効果がもたらされた状態を指します。
例えばA社とB社があり、それぞれ100の事業価値を持っているとします。この2社が合併したとして、合併によって収益が増大し、事業価値が200超になったらなら「シナジー効果が得られた」と表現され、見込みに反して収益が落ち事業価値が200未満に減ってしまったらなら「アナジー効果があった」と表現されるわけです。

シナジー効果の種類

シナジー効果には、どのようなものがあるのでしょうか。主に、下記の4つが考えられます。

シナジー効果の種類

コストの削減

複数の事業者が合同・提携することで、各事業において重複している部門や投資先の見直し・カットが可能になり、コストの削減につながります。
例えば、複数の企業が同じ経路で商品を運んでいるなら、共同で運搬作業を行うことで、配送コストや人件費を下げることが可能です。また、M&Aなどによって事業規模を拡大すれば、1回の生産量を増やすことで生産の効率化を図ったり、大量仕入れが可能になることで仕入れコストの削減につなげたりすることができます。

得意先の拡大

業種の垣根を越えて他社と提携する場合などは、提携する企業の得意先にアプローチできることが大きなメリットです。
例えば、家電量販店チェーンを展開する企業とアパレル製造小売業を営む企業とが提携した例もそうですし、同業種内の提携でいえば、自動車メーカーが双方の技術提携した例なども挙げられます。

時間の節約

新規事業を立ち上げるときや企業の抱える問題を解決したいときは、専門的な知識と経験を持った人材やノウハウが必要なことが少なくありません。しかし、条件にぴったり合う人材をすぐに採用できるとは限りませんし、自社で人材を育成するには時間と費用がかかります。そのような場合、求める人材やノウハウを持った企業と提携すれば、事業に着手するまでの時間と費用を大幅に節約できます。
また、複数の企業が提携して人材を募集することで、優秀な人材が確保できる可能性もアップします。人事面での活性化が促されるといったメリットもあります。

ノウハウや知識の共有

それぞれの企業が持つノウハウや知識、知見が共有されることで、組織マネジメントの強化が期待できます。また、知識や技術を組み合わせることで、新規の商品・サービスの開発につながる可能性もあるでしょう。

シナジー効果を生み出す方法

シナジー効果を生み出すには、他部署との協力や複数の企業が合同で事業を行うことが不可欠です。具体的には、下記の4つの方法があります。

業務提携

業務提携は、異なる商品やサービス、技術を持つ企業同士でタッグを組んで、業務を行う方法です。互いの強みを活かし合ったり、弱みを補い合ったりすることで企業価値が高まり、シナジー効果が得られます。
例えば、電動化技術を持つ自動車メーカーと、小型車技術を持つ自動車メーカーがタッグを組むことで、新たな製品の開発を目指した業務提携の例があります。

M&A

M&Aは、企業を買収・合併することで、スケールメリット、仕入れコストの削減、市場支配力の向上、業務効率性の向上、節税効果といったシナジー効果を得る方法です。
M&Aには、同じ業種・業態の企業を買収する「水平型」、商流の川上から川下までワンストップのサービス提供体制を作る「垂直型」、異業種参入などを狙って他業種の企業を買収する「コングロマリット型」、新たな商品と市場の開拓を目的とした「周辺市場進出型」といった類型があります。

多角化戦略

多角化戦略は、自社の経営資源を新たな事業分野に投下することで、企業全体の収益率や価値を向上させる方法です。M&Aと同じく、多角化戦略の種類には、既存の顧客に向けて新製品を投入する「水平型」、バリューチェーンの川上から川下または逆方向へと事業領域を広げる「垂直型」、既存の経営資源やノウハウを活かして作った新商品を、まったく新しい顧客や市場に対して投入する「集中型」、まったくの新規分野へ進出する「集成型」の4つの類型があります。

グループ一体経営

グループ一体経営は、巨大グループ内で顧客を共有する企業について事業を統合する方法で、特に金融業界に多くみられます。スケールメリットや業務の統一によるコスト削減といったシナジー効果が期待できます。

シナジー効果を高めるには丁寧なマッチングが重要

企業がシナジー効果を得るには、業務提携やM&Aなどの方法で、他部署との協力もしくは他企業と合同で事業を行うことが必要です。しかし、見通しを誤ればアナジー効果に終わってしまう可能性もありますので、闇雲に協力をすれば良いわけではありません。シナジー効果を得るためには、しっかりとした戦略構築やM&A、丁寧なビジネスマッチングなどが必須です。

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