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公開日:2022.03.18

更新日:2023.04.07

アウトソーシングとは?メリット・デメリットや外注との違い等を解説

アウトソーシングとは?メリット・デメリットや外注との違い等を解説

アウトソーシングはこれまで主に、企業の人材不足の解消やコスト削減を実現する手段として提唱されてきました。しかし、近年ではさらに一歩進み、「外の資源を活用して、大きな成果を生み出す手段」として注目されるようになっています。
ここでは、企業がアウトソーシングを選ぶ背景やアウトソーシングの手法、メリット・デメリットを紹介します。アウトソーシングに適した業務や、外注・クラウドソーシングとの違いについても併せて見ていきましょう。

アウトソーシングとは、業務の一部を外部企業に委託すること

アウトソーシングとは、英語のoutsourceに由来する和製英語です。日本語でいえば「外部委託」のことで、業務の一部を外部企業に委託することを指します。とはいえ、ただ業務を外部に委託するという意味ではなく、「企業価値を維持・向上させるために外部リソースを活用する」という意味で使われることが多いです。

日本では1990年代に急速に拡大し、主にコスト低減を目的に、情報システム関連や総務、人事、財務・経理、購買など、さまざまな分野でアウトソーシングが行われるようになりました。ただし、現在では、コスト削減だけでなく、自社にノウハウのない分野の業務の円滑な進行や人材不足解消、自社のリソースをコア事業に集中させるなど、アウトソーシングの目的も多様化しています。
なお、一口にアウトソーシングといっても、その手法はさまざまです。アウトソーシングにはどのような手法があるのか見ていきましょう。

BPO

アウトソーシングの中でも、近年特に注目を集めているのがBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)という手法です。BPOとは、アウトソーシングの中でも、企業の業務を一括して外部の専門業者に委託することで、例えば人事部のBPOなら、人事部の業務すべてを外部に委託することを指します。

特定の分野で自社よりも優れた専門性を持つ外部企業をBPOで活用すれば、企業は経営のコア業務に集中でき、コスト削減も期待できます。

ITO

ITO(インフォメーション・テクノロジー・アウトソーシング)は、コンピュータやインターネット技術に関連した業務の外部委託のことを指します。BPOの中でも、IT分野における業務委託はITOと呼ばれます。
現在では企業のIT化が進み、IT関連業務におけるリソースが必要なケースが増えてきました。自社のマンパワーやノウハウのみでは対応しきれないときは、ITを専門とする企業などにITOを行うという選択肢もあります。

KPO

知的生産活動のアウトソーシングとして広まっているのがKPO(ナレッジ・プロセス・アウトソーシング」という手法です。BPOの中でも、情報の収集や高度な分析、解析といった非定型の知的処理業務のアウトソーシングは、KPOといいます。
たとえば、医療開発や株式調査など、専門分野における高い分析力や創造性が求められる際は、KPOが活用されます。

アウトソーシングのメリット

近年、アウトソーシング市場が活況なのは、「変化の激しい時代の中で企業が競争力を高めていくためには、外部資源の活用が欠かせない」と考えられていることの表れでしょう。
企業がアウトソーシングを行う主なメリットとしては、下記のようなものが挙げられます。

アウトソーシングのメリット

コア・コンピタンスを強化して競争力を高める

コア・コンピタンスとは、企業の中核となる強みのことです。競合他社にはまねできず、顧客に対して他社とは一線を画す商品やサービスを提供できる、独自のスキルやノウハウ、技術を指します。
コア・コンピタンスを持つ、または強化するためには、長期間、核となる業務に人的・物的リソースを集中させることが必要です。ほかの業務をうまくアウトソーシングできれば、コア・コンピタンスの強化に直結する核となる業務に、社内のリソースを集中させることができます。

業務の処理速度と品質を高める

アウトソーシングを受ける業者の多くは、特定の専門分野について、さまざまな技術やノウハウを持っています。アウトソーシングでそれらの外部資源を活用することで、業務の処理速度や品質をアップすることが可能です。

自社の組織の肥大化を防ぐ

事業が拡大すると組織は肥大化し、その分、コア事業以外に社内のリソースを割くことになりがちです。コア事業以外をアウトソーシングすれば、組織の肥大化防止に役立ちます。また、すでに肥大化している場合は、コア事業以外をアウトソーシング先の子会社として独立させることで、親会社のスリム化を図ることも可能です。

状況に応じて人件費を調整できる

アウトソーシングを活用することで、企業の状況に合わせて人件費を調整することができます。社内で部門を構える場合は、固定の人件費を支払う必要があります。ですが、アウトソーシングを行う場合は、費用が発生するのはあくまで発注したタイミングのみです。そのため、例えば毎月は発生せず不定期に単発で発生する業務などに関しては、アウトソーシングをすることで、人件費の調整につながるといえます。

外部から専門的なノウハウを取り入れることができる

アウトソーシングを行うことで、委託先企業の高度な技術や長年培ってきた専門的なノウハウなどを自社に取り入れることが可能となります。業務によっては、ノウハウや専門的な知見を取り入れた教育や研修を受けることができたり、豊富なデータベースにアクセスすることができたりと、その形式も多岐にわたります。

アウトソーシングのデメリット

メリットの多いアウトソーシングですが、いくつかデメリットもあります。下記のような点には注意が必要です。

アウトソーシングのデメリット

社内にノウハウが蓄積されない

外部の技術やノウハウを活用するので、自社内にノウハウが蓄積されません。社内でまったく業務内容を把握していないと、アウトソーシング先の企業が事業から撤退した場合に問題になります。丸投げは避け、アウトソーシング先企業とのコミュニケーションを通じて、自社内でもある程度の情報を把握しておくことが必要です。

コストが高まるリスクがある

自社内で効率化が進んでいた事業などをアウトソーシングすると、反対にコストが高まる場合があります。そのため、さまざまなメリットがあるとはいえ、闇雲にはアウトソーシングをしないよう注意が必要です。

ガバナンスが弱体化する

ガバナンスとは、健全な企業経営が行われるよう、監視・統制する仕組みのことです。アウトソーシングすることで、業務工程に目が届かなくなり、品質管理などが適切に行われなくなる可能性があります。また、場合によっては情報漏洩をもたらす危険もあるでしょう。
対応策としては、スムーズに意思疎通を行うことができ、かつ信用できる業者をアウトソーシング先に選ぶこと、業者に任せきりにしないことなどが挙げられます。

アウトソーシングの活用前に整理すべきポイント

「自社のリソースが足りないからアウトソーシングの活用を検討する」といったケースもあるかもしれませんが、単に人材不足を解消するなら、アウトソーシング以外にも方法はあります。
アウトソーシングの活用を検討する際には、下記で紹介するポイントを事前に押さえておきましょう。

現状の課題把握を行う

まず、自社の業務の課題を把握し、どのように改善を行うべきなのかを検討しましょう。自社の業務フローの非効率である作業や、複雑で無駄が多い作業など、改善すべき業務を特定します。
また、業務が属人化しているといった問題も併せて把握しましょう。今後、誰もが同じように業務がこなせるよう、業務の標準化を図る必要があります。

アウトソーシングすべき業務を選別する

改善すべき業務が見えてきたら、その業務を「コア業務」と「ノンコア業務」に選別しましょう。

コア業務とは、直接的な利益を生み出す一方、定型化が難しく再現性が低い業務を指します。コア業務の多くは、専門的な知識やスキルを必要とするはずです。
ノンコア業務は直接的な利益を生む業務ではない傾向があり、「定型化がしやすい」「再現性が高い」といった特徴があります。

一般的に、アウトソーシングに向いているのは、定型的な業務となるノンコア業務と言われています。内容やフローが決まっているノンコア業務の、アウトソーシング活用を検討してみてください。

アウトソーシングに適した業務

前述のように、アウトソーシングには向いている業務と向いていない業務があります。ここでは、アウトソーシングに適した業務はどのようなものなのか、業務ごとに見ていきましょう。

IT関連の場合

自社内でIT人材・DX人材人材育成を行うには、専門の経験や知識を持った教育者が必要です。しかし、IT人材・DX人材が不足している現在、教育者になれるだけの人材を確保することは困難といえます。そこで検討したいのが、企画から運用まで、ほぼすべてのIT業務をアウトソーシングすることです。このように、ある業務機能のほとんどを外部に委託するケースを、「フルアウトソーシング」といいます。

なお、ITの知見がある人材は社内にいるものの、プロジェクトの規模が大きすぎてリソースが不足しているといったシチュエーションもあるでしょう。その際には企画を自社で行い、開発だけをアウトソーシングするという選択肢もあります。

人事の場合

人事は人を見極める仕事のため、業務には人事ならではの経験が求められます。しかし、多数のエントリーシートを確認する必要があるなど、業務に負荷がかかる傾向があります。

昨今、人事関連のアウトソーシングで増えてきているのが採用代行です。ただし、採用代行は自社の人事担当者の負荷が減るといったメリットはある一方、委託先との認識齟齬により採用方針と異なる人材を確保してしまうリスクがあります。
そのリスクを回避するために、採用の1〜2次審査のみをアウトソーシングし、最終面接は自社で対応するといった選択肢もあります。

経理・法務・事務の場合

経理や法務、事務は、データの入力作業といった単純作業が多く発生する特徴があります。専門的な知識が求められるケースもありますが、膨大な単純作業が重なることで、担当者が専門的業務に集中できないケースも多いでしょう。
そこで検討したいのが、単純作業のアウトソーシングです。単純作業の負担が減れば、担当者の業務効率化や人件費の最適化も期待できます。

コールセンターの場合

コールセンターには専用の場所や設備、人材の確保が必要です。毎月一定のインフラや人材のコストがかかる一方、多忙な時期とそうでない時期に差があり、自社でインフラや人材を維持・確保するには負担が大きいといえます。
そのため、コールセンター業務をアウトソーシングし、インフラや人材確保にかけるコストを削減する企業は多いようです。

アウトソーシングの種類

アウトソーシングと外注との違いを理解するために、まずはアウトソーシングの種類について説明します。経済産業省が発表している「アウトソーシング産業事業規模基本調査」において、広義のアウトソーシングの定義には、下記の4つの種類があると記載されています。

<アウトソーシングの種類>

(1)人材派遣による補助業務

業務に対し、専門的な知識を有する人材を派遣・当該業務を遂行、指揮命令権は委託企業に存在すること。

(2)業務の運営のみを受託する代行業務

委託企業で企画と設計をし、その運用の一部もしくは全部外部化すること。

(3)業務の企画・設計を受託するコンサルティング業務

企画や設計段階を任せ、運用は委託企業で遂行すること。

(4)業務の企画・設計から運営までを受託する業務

企画や設計、運営などすべての業務を外部の企業へ任せ、委託企業は評価のみ行うこと。

受託形態が(1)から(4)へと進んでいくほどに規模は大きくなり、同時にリスクも高くなります。また、上記の4つは広義のアウトソーシングの定義で、狭義のアウトソーシングの定義は「(4)業務の企画・設計から運営までを受託する業務」となります。

アウトソーシングと外注との違い

アウトソーシングは、「業務を外部に依頼する」という点では外注と同じであると考える人も少なくないでしょう。ですが、このふたつが意味する内容はまったく異なります。両者には具体的にどのような違いがあるのかを説明していきます。

戦略性の違い

アウトソーシングは戦略性が求められる点において、外注とは違いがあります。外注には特に戦略性はなく、委託側が外注先に求めるのは、頼んだ業務をマニュアルどおりに進めてくれることです。一方、アウトソーシングは、業務の企画・設計、運営までを含んだ業務委託であり、委託を受ける側は高い専門性とコンサルティングなどの戦略性が求められます。

目的の違い

外注は、社内で業務をするより安く成果物を完成させ、納品するのが目的です。一方のアウトソーシングは、単なるコスト低減でなく、外部のリソースを活用して企業価値を維持・向上させるのが目的になります。

コスト削減につながるか

外注は、コスト削減が目的なので、コストが削減できないのであれば、そもそも外注する意味がありません。一方、アウトソーシングは企業の成長が目的であるため、場合によっては、コスト削減にはつながらないこともあります。

アウトソーシングとクラウドソーシングの違い

クラウドソーシングは、インターネット上で不特定多数の人に業務を発注する業務委託の一形態です。

アウトソーシングを行う場合、受注側の多くは、その業務においての専門業者となります。対して、クラウドソーシングを受注しているうちの大半は、フリーランスとなります。
そのため、基本的にクラウドソーシングは、戦略性などを必要としない外注業務を依頼する場合に利用すべきといえます。

アウトソーシングの事前準備として、まずはDX推進を

アウトソーシングは、外部のリソースを活かして企業を成長させるために行うものです。単なる外注と違い、業務の企画・設計から運営までを外部に任せることになるため、アウトソーシング先の企業は慎重に選ぶ必要があります。また、アウトソーシング活用の際には、あらかじめ業務のDX推進をある程度行い、データの電子化やコミュニケーションツールを使った進捗管理などを可能にしておくことをおすすめします。それにより、受注者との業務のやりとりをよりスムーズに進めることができるというメリットがあります。

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