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公開日:2022.12.05

BtoBマーケティングとは?BtoCとの違いや具体的な手法を解説

BtoBマーケティングとは?BtoCとの違いや具体的な手法を解説

市場の変化や、急速に発展するデジタル化、さらにはコロナ禍に伴うオンライン化の影響で、BtoB領域におけるマーケティングの重要性が増しています。
ここでは、「取り組む意義を知りながらなかなか手をつけられずにいる」「何から手をつけていいのかわからない」といった方のために、BtoBマーケティングの基礎知識やBtoBマーケティングが注目される理由を紹介。主な手法と特徴、実践する上でのポイント、成功事例なども併せて解説します。

BtoBとBtoCの違い

BtoBはBusiness to Businessの略で、法人向けのビジネスモデル、あるいは法人間の取引を指します。よく似た言葉にBtoCがありますが、こちらはBusiness to Customerの略で、企業が一般消費者(個人)向けに自社製品や自社サービスを販売するビジネスモデル、あるいは法人と個人間の取引のことを指します。
まずは、BtoBとBtoCの違いについて、くわしく見ていきましょう。

製品やサービスの購入目的が違う

BtoCの場合、顧客の目的は生活の改善や娯楽・エンターテインメントであることが多いです。
一方、BtoBの場合の顧客の目的は、ROI(費用対効果)の改善や業務の効率化といった課題解決のほか、卸売、材料の入荷、製品の加工、ビルの建築、広告の発注など、多岐にわたります。
BtoBの場合、購入を検討する人が、企業の中でどのような役割を持ち、何を課題としているのかを見極める必要があります。そして、その課題を解決可能な自社の製品やサービスを紹介する際も、BtoCのように個人の感情に訴えるのではなく、合理的に伝える必要があるでしょう。

購買フェーズと関与者の数が違う

BtoCは個人との取引のため、購買を検討している人がそのまま意思決定者になることがほとんどです。しかし、BtoBでは、たとえば「調査」→「検討・比較」→「選定・決裁」→「発注」といったように購買フェーズによって伝えるべき情報発信の内容は異なります。また、最終的な意思決定者が現場にいないケースも多いでしょう。BtoBマーケティングでは、購買フェーズごとに必要な情報を適切なタイミングで提供し、関与者の興味を引き続ける必要があります。

検討期間が違う

BtoCは、商材の金額がBtoBに比べて安価であり、関与者がひとりの場合はその場で購入を決めることがあります。一方、BtoBは商材の金額が高い傾向があり、複数の関係者の承認を得て購買に至ることが多いため、一般的に検討期間は長くなります。

BtoBマーケティングが注目される理由

近年、BtoBマーケティングに対する注目度が高まっている背景には、BtoBのビジネスモデルを取り巻く環境の変化があります。
従来のBtoB企業では、飛び込み営業や電話でのアポ取りなど、個別訪問型の新規営業スタイルが一般的でした。また、ビジネスに必要な製品やサービスは、「なじみの業者の、いつもの物」を使い続ける顧客が多かったため、既存顧客から気軽に声をかけてもらえる関係性を築くことが営業成績に直結するケースが多く存在していました。

ところが、市場が成熟するにつれ、こうした営業手法は営業コストに見合った利益が見込めず、非効率と捉えられることがよく見受けられます。働き手の減少で、営業人材を獲得しにくくなり、人海戦術が物理的に使えなくなった企業も多いでしょう。また、コロナ禍の影響で、架電・メール・Web会議といった非対面での営業が増加したことも、こうした傾向に追い打ちをかけています。

また、デジタル化が進み、情報収集が容易になったことで、顧客の購買プロセスにも変化が生まれました。「いつもの業者」「いつもの商品」を漫然と使い続けるのではなく、インターネットで比較検討した上でより安価でより良い商品へと簡単に乗り換えられるようになったのです。
しかも、インターネットを通じて容易に海外とも取引ができるようになったことから、競合は海外企業にも拡大しています。

顧客との良好な関係を築く・維持するBtoBマーケティングは、こうしたさまざまな変化を受けて、ますます重要性が高まっています。

BtoBマーケティングの全体像

関与者が多く、最終的な意思決定者が現場にいないこともあるBtoBマーケティングでは、商品やサービスの認知、購買、継続利用に至るまでのプロセスごとに、顧客との接点を設けて購買意欲を高めなくてはなりません。顧客の情報を適切に管理し、カスタマージャーニー(認知から購買までの流れ)を想定して行動に移すことが重要です。
ここでは、具体的なBtoBマーケティングの全体像・流れについて解説していきます。

BtoBマーケティングの全体像

1. 顧客のニーズを知り、ニーズに合った商品・サービスを作る

まずは、潜在顧客を含めて、顧客が何を求めているかを把握して、商品作り・サービス作りに活かします。
BtoBマーケティングにおいて、顧客は具体的な課題を抱えているケースがほとんどです。顧客満足度調査や潜在顧客へのニーズ調査を踏まえ、ニーズに合った商品やサービスを作ることが大前提です。

2. リードジェネレーション(創出)を行う

次に、商品・サービス認知施策を実施し、自社の製品やサービスに興味・関心を示す企業担当者の情報(企業名・部署名・氏名・連絡先など)を獲得しましょう。それらの「リード」と呼ばれる見込み顧客を獲得することを、リードジェネレーション(創出)といいます。
リードジェネレーションの具体例としては、展示会やセミナー、電話営業、ウェブサイトの会員登録など、さまざまなマーケティング手法があります。

3. リードナーチャリング(育成)を行う

リード(見込み顧客)に対して、短期ではなく中長期的となる接点を構築し、信頼関係を作り上げていくことをリードナーチャリング(育成)といいます。この段階は、すでに獲得したリードが求めている情報の提供を素早く提示でき、顧客の購買意欲を高めるプロセスとなっています。

4. リードクオリフィケーション(選別)を行う

ナーチャリングしたリードの中から、特に購買意欲の高い顧客を選別していくことをBtoBマーケティングでは、リードクオリフィケーション(選別)といいます。確度の高いリードから優先的にコンタクトを取ることが可能となり、効率的なセールス活動を展開することができます。

5. 案件化、商談化する

自社の営業チームに顧客情報を共有し、案件化・商談化します。なお、商談の際には、リード獲得の段階からナーチャリングまでの間、リードがどのような行動を起こしてきたのかを具体的に把握しておくと「先日、セミナーに参加してくれましたね」といった営業トークにも活用でき、受注率の向上が期待できます。

6. 受注する

営業チームと顧客の商談を経て、顧客の正式な受注につなげます。その際、SaaSサブスクリプションのようなビジネス形態の場合は特に、サービスを継続利用してもらえるよう注力しましょう。

7. 顧客との関係を深める

取引のできた顧客との関係を維持するため、顧客に対して定期的に情報提供をします。取引期間中に顧客から得られる収益の総額であるLTV(顧客生涯価値)を高め、新規顧客を優良顧客へと成長させることで、利益や売上の最大化を目指していきましょう。

8. PDCAを回す

顧客の満足度を確かめ、PDCAを回してより良く改善します。PDCAとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の頭文字を取った管理手法です。BroBマーケティングは特に、漠然とした計画や実行のままで狙った成果を出すことは困難といえます。施策の評価と改善を行うために、効果測定→分析→改善を継続的に回していきましょう。優良顧客を逃さないため、製品やサービスの改善などは常に行っていきます。

BtoBマーケティングの主な手法と特徴

BtoBマーケティングには、各フェーズに適したさまざまな手法があります。フェーズごとに、代表的な手法と特徴をご紹介します。

リードジェネレーション(創出)に有効なオンライン手法

デジタル社会である現代では、オンライン手法を活用したマーケティングが有効です。まずは、リードジェネレーションに有効なオンライン手法をご紹介します。

・コンテンツSEO

コンテンツSEOとは、顧客ニーズにマッチした良質なコンテンツを継続的に発信し、ウェブ検索からの集客を目指す手法です。コンテンツを積み上げていくことで、顧客のファン化も期待できます。

・ウェブ広告

SNS広告、リスティング広告、ディスプレー広告など、ウェブ上でユーザーとの接点を作り、認知度を高めて自社サイトへの誘導や施策への参加者を増やします。ウェブ広告は、種類によってはユーザーの属性を絞った広告配信も可能です。

・ホワイトペーパー

マーケティングにおけるホワイトペーパーとは、企業が抱えている課題とその要因を分析し、それらの解決を実現する自社サービスの紹介などをまとめた報告書を指し、ダウンロードする際に顧客の連絡先を入力させるのが一般的です。ホワイトペーパーをダウンロードするのは、ホワイトペーパーに掲載している課題解決につながる情報に興味を抱いている企業であるため、良質なリード獲得につながります。

・ウェブセミナー

ウェブセミナーは、オンライン上で行うセミナーのことであり、ウェブとセミナーを合わせた造語としてウェビナーとも呼ばれます。ウェブセミナーは、オンラインでリードと接触できることから、顧客との時間さえ合えばいつでもどこでも密接なコミュニケーションをとれます。また、視聴登録する際に顧客の連絡先を入力させるのが一般的であり、簡易に顧客情報収集できることから、オフラインセミナーよりも低コストで多くのリードを獲得できる可能性があるでしょう。

リードジェネレーション(創出)に有効なオフライン手法

BtoBには、オフライン手法を活用したマーケティングも有効です。リードジェネレーションに適したオフライン手法には、下記のようなものがあります。

・対面セミナー

自社商品、サービスの魅力を直接紹介できる対面でのセミナーは、オフラインでリードを獲得する代表的な手法です。リードと直接コミュニケーションを図れるため、信頼関係をスピーディに築きやすいことがメリットです。ただし、海外展開といった広範囲のリードにアプローチしたい場合はオンラインセミナーのほうが向いているでしょう。

・展示会出展

展示会出典のメリットは、多数の見込み顧客と直接話ができる点です。大規模な展示会に出展をすれば、数日で数百〜数千件程度のリードをまとめて獲得することも可能でしょう。

・交通広告

交通広告とは、電車内や駅、タクシーのサイネージ上などに表示させる広告です。特にタクシーは、最終的な意思決定者に近い層の乗車が見込まれ、BtoBマーケティングでは効果的だと言われています。

・マス広告

マス(一般大衆)に向け、広告を通じて自社商品をアピールします。一般的にマス広告は、「新聞広告」「テレビCM」「ラジオCM」「雑誌広告」などを指します。

リードナーチャリング(育成)に有効な手法

リードの購買意欲を上げる育成プロセスであるリードナーチャリングには、どのような手法があるのでしょうか。主なところでは、下記のような4つの手法があります。

・インサイドセールス

インサイドセールスとは、リードに非対面で営業し、検討確度の高いリードとコミュニケーションを重ねて商談化させる手法です。失注顧客、保留顧客の掘り起こしにも役立ちます。

・SNSアカウント運用

リードと気軽な接点を持つことが可能なSNSの運用も有効な手法です。企業のSNSアカウントを取得し、リードに対してさまざまな情報発信を行うことで、購買意欲を高めていきます。

・メルマガ配信

定期的にメルマガを配信し、新鮮なコンテンツを提供することで、興味・関心の向上につなげます。

・MAツール活用

顧客のWeb上の行動(自社サイトを見た、セミナーに参加した、メールを開封した等)を可視化して確度の高いリードを抽出するMA(マーケティング・オートメーション)ツールを活用することも有効です。

BtoBマーケティングを実践する上でのポイント

BtoBマーケティングを実践する上では、どのようなポイントがあるのでしょうか。ここでは、BtoBマーケティングに取り組む際のポイントを、3つご紹介します。

BtoBマーケティングを実践する上でのポイント

顧客ニーズの理解を深めて、商品やサービスに反映する

単にリードの母数を増やすのではなく、確度の高いリードを増やすことがBtoBマーケティングの目的です。ターゲットを明確に定め、顧客ニーズの理解を深め、商品やサービスに反映しましょう。

営業やマーケティングなど、部門間の情報連携をスムーズにする

BtoBマーケティングは、リードの購買意欲を育て、確度の高いリードを営業に引き渡すことによって商談化を目指します。顧客と質の良いリレーションを築くには、社内における部門間のスムーズな情報連携は欠かせません。

目的を明確にして、適切なツールを導入する

自社の課題によって、選ぶべきツールや施策は異なります。状況を客観的に見極め、目的を定めてツールや施策を検討しましょう。
代表的なツールには、リードジェネレーション(創出)やリードナーチャリング(育成)を自動化するMA、顧客情報を一元化するCRM(顧客関係管理システム)、営業活動の情報を一元化して属人化を解消するSFA(営業支援システム)などがあります。

BtoBマーケティングの成功事例

最後に、BtoBマーケティングの成功事例をご紹介します。各社がどのような課題を、どのような手法で解決したのか見ていきましょう。

中小企業向けコンサルティング事業の成功事例:インバウンドマーケティングへのシフトに成功

中小企業の集客課題を解決していくコンサルティング事業等を展開している企業の事例です。同社は、テレアポを中心とするアウトバウンド営業から、オウンドメディアやウェブ広告を活用したインバウンドマーケティングでの新規顧客開拓に路線を変更。広告運用で多数のリードが生まれたほか、アポ獲得率、受注率も向上しました。
コンテンツSEOにも力をいれた結果、開始から4ヵ月でウェブ検索結果に1位で表示されるコンテンツが生まれ、潜在的なリードの獲得に貢献しています。

製造販売事業の成功事例:新規開拓のきっかけづくりをMAツールで実現

製造販売事業を行っている企業の事例です。同社の課題は、デジタル化による既存事業の市場縮小でした。そこで、限られた社内リソースで新規分野の開拓を効率的に行うため、MAを導入。サイト上での顧客の行動が可視化されたことで、顧客の興味関心を把握した適切なアプローチができるようになり、営業活動にかかる工数の大幅削減に成功しています。

自社の課題に合ったツールや施策で、より効果的なBtoBマーケティングを

BtoBマーケティングでは、オンラインでの施策を含めたさまざまな手法が展開されています。自社の課題や置かれている状況によって導入すべきツールや実行すべき施策は変わるため、まずはツールの導入や施策の導入目的を明確化することから始めましょう。

BtoBマーケティングを推進するなら、SMBCグループが提供するビジネスマッチングサイト「Biz-Create」内のサービス「Biz-Create Sales Pro」がおすすめです。新たにツールを導入することなく、BtoBマーケティングを開始できます。業種・業態に偏りのない幅広い企業の興味・関心と企業情報を確認できるため、自社の商品・サービスのアピールがより直接的になり、新たなつながりを創出することができるでしょう。

また、SMBCグループが提供する「PlariTown」は、MAやSFA・CRMなど、BtoBマーケティング・DX推進に資する多様なデジタルサービスや、業界ニュース・レポートなどビジネスに役立つ情報を、ワンストップで利用できるプラットフォームです。サービス導入の相談受付やお客さまの業務実態に合わせた提案も実施しており、DX推進をサポートします。

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